愛知県美術館が所蔵する天才画家「ピカソ」の作品の絵の下に、別の人物像があることが発見されました。学芸員は「謎が多いピカソの制作プロセスの一端が分かる貴重な発見」と話しています。 パブロ・ピカソが20代初め、青の時代に描いた「青い肩かけの女」。
愛知県美術館の副田主任学芸員:「1902年に描かれたものですけれど、青一色で染められたメランコリックな憂鬱な雰囲気の作品です」 青い肩かけをしてうつろな表情で静かに佇む女性。当時ピカソは貧しい人々を取材。青い絵の具を用いて絶望や悲しみ、打ちひしがれた人々を描いた「青の時代」の作品の1枚です。副田主任学芸員:「実は今描かれている女の人の絵の下に別の人物像がいるらしいということがわかりました」
絵を所蔵する愛知県美術館は、2022年5月、アメリカの2つの美術館と共同で調査を実施。光を波長ごとに細かく分けて撮影できるカメラで分析したところ、女性の絵の下に別の人物像が描かれていることが発見されました。
副田主任学芸員:「我々の方で強調したのがこちら。頭をぐっと下げて背中を丸めて足の先を見ているような人物像が浮かび上がってきた」 ピカソは貧しかった「青の時代」、売れ残った作品を潰して新たに別の絵を描いていたといわれています。
今回の注目すべき発見が…。副田主任学芸員:「このグッと曲がった背中が、女性の髪のラインとほぼ一致する。推測にはなりますけど、下に絵が見えていれば意識は引っ張られる。ポジティブに言えば新しい形を作ろうとするピカソが何を考えていたのかなと、いろいろ解釈できることが面白い。制作プロセスの一端が分かるという意味では研究的にも貴重な事例かなと」
「青い肩かけの女」は、3月21日から名古屋市東区の愛知県美術館で開かれるコレクション展で展示されます。