【プチ鹿島の本音】外国人労働力投入で過酷さ解決されるのか

新年度が始まり、4月から変わるものがニュースになっています。食品の値上げなどのほか「運送業・建設業・医師の時間外労働の上限規制開始」もそう。運送業では労働時間の減少によって物流に支障が生じるという、いわゆる「2024年問題」がある。私が気になるのはドライバーの働き方改革といいながら“荷物がちゃんと届くかどうか”の心配が先になっていないか?という面です。
なのでドライバーの過酷な労働状況について調べてみると、日刊工業新聞は社説で「物流24年問題 賃上げと商慣習是正で軟着陸を」と書いていました(2月21日)。「商慣習是正」とは、運転手による長時間の荷待ちや、荷主が運転手に対価なしに荷物の積み下ろし(荷役)を要請することなど。こうした要因が時間外労働の上限規制でさらに影響が出て収入減になり、ドライバー不足に拍車をかけかねないからだ。
ではここで、別のニュースを組み合わせてみよう。政府は先月末、外国人労働者を中長期的に受け入れる在留資格「特定技能1号」の対象に自動車運送業ではバス、タクシー、トラックの運転手を入れた。
《トラックでは、労働時間短縮で輸送力不足が懸念される「物流2024年問題」に対応する狙いがある。》(読売新聞3月29日)
つまりドライバーの人手不足に外国人をという狙いが見えますが、ここで気になるのはドライバーの過酷さという根本は解決されるのだろうか?という点です。「外国人の労働力を投入すればいいや」となってないだろうか。
廃止の方向となった技能実習生制度では外国人をあたかも安い労働力のように考え、「共生」の部分が足りなかったのでは?と指摘され続けました。ニュースを併せ読んであらためて気になったことです。(時事芸人)