最近、名古屋城やその周辺に群れを成したカワウやサギが現れるようになり、近隣住民がそのフン害に悩まされています。カワウやサギは、なぜ名古屋城周辺に大挙して集まっているのでしょうか。現場を調査すると、より深刻な実態が明らかに。謎の生態を徹底追跡しました。
フンで雪化粧?名古屋城周辺に深刻被害!押し寄せる「カワウ」「…の画像はこちら >>
名古屋市北区にある堀川沿いの住宅街では毎朝、日の出と共に大量に現れるカワウの姿が見られます。さらに、近くの工場の屋根にはどこからともなく大量のサギも現れ、屋根はフンで真っ白です。なぜこれらの鳥は大挙してやってくるのでしょうか。
(名城大学農学部・橋本啓史准教授)「朝一番に出かけていってエサをとって行動をする。今ボラを食べにたくさん来ている」
CBC
カワウやサギの狙いは、今年各地で大量発生しているボラ。2023年1月初め頃から名古屋市北区の掘川では、川一面を覆い尽くすほどのボラの大群が現れました。名古屋市環境科学調査センターによると、ボラは冬から春にかけて温かい水を求め、海から川に遡ると言います。ただ、これだけ大きな群れは珍しく堀川に現れた理由はわからないそう。
そのボラを狙うカワウやサギは、生きているボラだけでなく死んだボラも食べていて、まさに「食べ放題」の状態です。
CBC
よく堀川を散歩している住民に話を聞きました。
(住民)「大量のボラが遡上してきてから、カワウが編隊で30~40羽くらいの感じで。フンだらけ」
住民からの情報の中には、カワウがボラを食べ過ぎて重くて飛べなくなり、川で溺死していたというものもありました。
大量発生したボラを食べているカワウやサギ。橋本准教授は深刻な事態だと警鐘を鳴らします。
(名城大学農学部・橋本啓史准教授)「名城公園の中などで巣を作り始めていて、もう20個くらい作り始めている。フンや(エサの)魚の死体が落ちてくることになるので困る」
CBC
名古屋市の名城公園の入り口のすぐそばに、アオサギの巣がありました。しばらく観察していると、巣の材料となる枝をくわえて飛んできます。巣がある木の下には「鳥のフンに注意」という注意書きもありました。
(名城大学農学部・橋本啓史准教授)「アオサギは数年前から、ここでつがいが巣を作り始めている。カワウはことしから巣を作り始めている」
公園の奥に進むと、驚きの光景が。散歩やランニングコースのすぐそばに生えている木の根元がフンで真っ白になっていたのです。木の上には2つのカワウの巣が。別の木には巣が10個もありました。
(名城大学農学部・橋本啓史准教授)「一つの所に集まってきて何十とか何百(単位で)巣を作る」
今回の取材では、約30個の巣を確認しました。
大量のフンがある周辺では、マスク越しでも耐えがたい悪臭が漂います。さらに、周辺を歩いた記者の服には、風に乗って飛んできたフンの粉が付着しました。
CBC
海からボラが遡上する理由はわかりませんが、橋本准教授によると2023年1月頃、遡上するボラと共に名古屋港にいたカワウたちも北上。ボラが集まった堀川近くの名古屋城周辺に集まってきたとみられるそうです。
そして周りが見渡せて外敵を察知しやすく、休憩所やねぐらとして最適な名古屋城の木などに集まるうちに、カワウの一部が名城公園に巣を作ったとみられます。
CBC
(名城大学農学部・橋本啓史准教授)「どんどん巣が増える前にボラがいなくなるか、追い払いをするかしないと、大規模な集団繁殖地になってしまう。でもここに(巣を)つくらなかったらどこにいくのだと。また次の所で問題が起こる可能性がある」
このままボラが減ったら鳥たちがいなくなるのか、それともここに定着してしまうのかは、まだわかりません。いずれにしても、まだしばらくは鳥の群れとフン害に悩まされそうです。
CBCテレビ「チャント!」2月23日放送より