明日27日から29日にかけて、格闘ゲームの祭典『EVO Japan 2024』が開催。世界中より猛者プレイヤーが集結し、ここ日本は正に「格ゲー修羅の国」となっている。
しかし真に素晴らしいプレイというのは、スポットライトの下以外にも存在するもの。現在、埼玉県のゲームセンターで発見された信じがたいプレイが、世界中に衝撃を与えているのだ。
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今回注目したいのは、来日中のプロゲーマー・Justin Wong(以下、ジャスティン)が23日に投稿したポスト。
「Japan really built different out here…(日本はマジでイカれてるよ…)」と意味深な1文が綴られた投稿には、15秒ほどのショートムービーが添えられており、ゲーセンの筐体で格ゲーをプレイする男性の姿が確認できる。
Japan really built different out here… pic.twitter.com/BfxtmLJ99i
Justin Wong (@JWonggg) April 23, 2024
一見すると何の変哲もない光景だが、筐体画面と男性の手元に注目してほしい。なんと男性は右手でスマホを操作しつつ、左手1本でゲームをプレイしていたのだ。
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片手でゲームをすることが、そこまで珍しいのか? と、疑問を感じた人のために、状況を簡単に説明しておこう。
格闘ゲームのゲーセン筐体は、主に「アケコン」(アーケードコントローラー)の呼び名でお馴染みのコントローラーを使用しており、左手側に1本のレバー、右手側に複数のボタンが搭載されている。
動画の男性はゲーム『ウルトラストリートファイターIV』(以下、ウル4)にて、サンダー・ホーク(以下、ホーク)というキャラクターを操作しており、いわゆる「投げキャラ」のホークはコマンド投げ(以下、コマ投げ)と、打撃技の2択で相手にプレッシャーをかけていく戦法が定石だ。
そして同作のコマ投げは「レバー1回転+ボタン」という、格ゲー初心者からすると複雑怪奇なコマンドをしているのが、今回の動画のミソ。
ゲーセンで目撃された男性、その手元が世界中で話題に 海外プロ…の画像はこちら >>
つまり動画の男性は、右手でネットサーフィンを楽しみつつ、左手1本でレバーを動かし、相手キャラに接近し、レバーを1回転させ、即座にボタンを押し、連続でコマ投げを成功させているのだ。
これは例えるならば、ヨハネ・ブラームスによる『ハンガリー舞曲 第5番』を片手でピアノ演奏するような所業である。この恐るべき光景は世界中の格ゲーマーに衝撃を与えており、投稿から2日足らずで3,000件以上ものリポストを記録するほど大きな話題に。
海外勢からは「マルチタスクかよ」「これはイカれてる」「プロにならない化け物プレイヤーがまだまだいると、おれは信じてるよ」「ジーザス・クライスト! 日本はおかしいって前から言ってるんだ」など、驚きと称賛の声が寄せられている。
なお、日本勢からは「CPU戦のフハジンさんだ」「左手だけで世界一になる男」「レッツゴーフハジーン!」といった声が見られ、件の男性の国内ゲーマーからの認知度はかなり高い模様。
じつはこちらの男性、Sirabee取材班の特別部隊に所属する人物で、過去にも多数の記事に登場してきたフハジンさんその人なのだ。そこで今回は、話題のプレイの詳細をめぐり、フハジンさんに話を聞いてみることに…。
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待て待て待て
待て待て待て待て待て https://t.co/7gomCOJ8No
フハジン (@fuhajin1201) April 23, 2024
23日、用事を終えた帰り道に埼玉県・南浦和のゲーセン「プレイスポットビッグワンセカンド」を訪れたフハジンさんは、多数の海外プレイヤーに遭遇。
そこで、対戦を期待してアーケードモード(CPU戦)を開始したが、対戦が発生するまで時間を持て余し、暇つぶしにスマホでSNSを見ながらレバーを操作していたという。
脅威の片手プレイが生まれた経緯について、フハジンさんは「ある日、ふと『片手で操作できるのかな?』と思って試してみたところ、思いの外動かせたのでその日以降、対人対戦の合間に片手プレイを嗜むようになりました」「レバー自体はもともと左手で操作するためか、コマ投げも最初からよく出せました」と語っている。
そしてなんと「右手1本」でもプレイ可能とのことで、「今回の動画レベルのプレイなら、右手でも操作できます」とのコメントも飛び出したのだ。言っていることが完全に、利き手とは逆の腕でテニスをプレイし、相手をボコボコにする越前リョーマである。
なお、フハジンさんはホークのウルトラコンボ「レイジングタイフーン」(通称:ポゥ)を生業としており、こちらは「レバー2回転+ボタン」と、さらに難度が高い。成功率は下がるものの、片手ポゥも可能だという。
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片手コマ投げのコツについて、フハジンさんは「自分は普段、いわゆる『ワイン持ち』と呼ばれる持ち方をしているのですが、片手プレイ時は『被せ持ち』に近い形で操作します」「そうすることで、親指がボタンに届きやすくなり、技が出せるようになるのです」と語る。
「他にも色々な持ち方があると思うので、皆さんそれぞれの片手プレイの方法を見つけてもらえればと思います」と続け、指導者としての笑顔を見せる。
ジャスティンの動画がバズった件については、当初「いつの間に撮ったの!?」と驚いたそう。
フハジンさんからは「動画がバズっていくのを見て、自分にとっての“通常運転”が広がっていくのに戸惑いつつ、ニヤけてしまいました」「対戦中に来る不意な電話にも落ち着いて出られるようになるので、動画を見た格ゲーマー達には『片手プレイは練習しておいた方が良い』と伝えたいですね」とのコメントも得られている。
前出のコメントにもあるように、国内の『ウル4』プレイヤー(通称:原人、ウル4原人)の間では、フハジンさんの片手プレイは非常に見慣れた光景。原人にとってこの状態は、昼下がりのコーヒーブレイクと何ら変わらない平穏なものである。
それだけに「ついに世界がフハジンに気づいた」「フハジンはワシが育てた」といった誇らしい思いも強いのだろう。
期せずして「EVO Japan前夜祭」のような盛り上がりを見せた今回のプレイ。果たして本戦では、どのようなスーパープレイが見られるのだろうか。
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秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力と機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
『ストリートファイター6』にバルログの参戦を望んでいる。