パリッコのおつまみ革命 第46回 “ドイツの屋台ソーセージ”のタイ風アレンジで、ビールが止まらぬおつまみが爆誕!「トムヤムカリーヴルスト」

地元の好きな酒場で飲んでいた時のこと、「ドイツ屋台ソーセージ」なる新メニューが気になり、頼んでみました。

するとこれが、ソーセージのケチャップ炒めにほんのりとカレー風味を効かせたような味わいで、とてもいいつまみなんです。

店主さんにどういう料理なのかを聞いてみると、ドイツ料理の「カリーヴルスト」をお手軽にアレンジしたものなのだとか。ただ、カリーヴルストという名前で出すとなじみのない人が多いからか、注文がぜんぜん入らない。そこで「ドイツ屋台ソーセージ」に変えたら急に人気商品になった、という話には笑いました。

ではカリーヴルストとはどういうものかというと、焼いたソーセージにケチャップとカレー粉をかけただけというスタイルが主流の、かなりシンプルな料理なんだとか。本場ドイツでは屋台で提供されることが多く、横に小さなパン、もしくはフライドポテトがついてくることが多いそう。

ところで、先ほどのお店で食べたカリーヴルスト。店主さんが、タバスコを添えて出してくれたので、途中でかけてみると、これがめちゃくちゃ合う!

そこで、家で作る時もタバスコがけが定番となったわけですが、ある日、作ったあとにタバスコを切らしてしまっていたことに気がついたんですよね。そこでなんとなく粒マスタードをつけてみたら、これまた合う。

そこで、あれ? これもしかして、「酸っぱ辛い」系の調味料ならなんでも合うんじゃないの? と、柚子胡椒、豆板醤など、家にあったものをあれこれ合わせてみたところ、どれもうまい。なかでもいちばん斬新な美味しさだったのが「トムヤムペースト」。これ、もはや「トムヤムカリーヴルスト」という新料理と言ってもいいんじゃないの!?

というわけで作っていきましょう。

まずはソーセージを用意します。スーパーで売っているような一般的なものでもなんでもいいでしょう。こないだ赤ウインナーで作ってみても美味しかったです。

1袋5本入りだったので、今回は5本ぶんを使って作っていきます。

まず、ソーセージを約2cm幅くらいのぶつ切りにします。それを、ほんのりと油を引き、弱目の中火にかけたフライパンへ。

全体におおよそ火が通ったら、ここにケチャップとトムヤムペーストを加えます。実際は、全体がしっかりコーティングされるくらいを目安に目分量でいいんですが、今回は一応計りながら作ってみたところ、それぞれおよそ大さじ1/2ほどでした。

あ、ちなみにトムヤムペーストを使ったことがないという方もいらっしゃるかもしれませんが、輸入食材店などで入手でき、適量のお湯にとくだけでトムヤムクンスープができてしまうという、すさまじく便利なペーストです。

メーカーによっても塩分濃度が違ったりするかもしれないので、味を見つつでお願いします。

そしたら全体をよく混ぜながら炒め合わせ、液体っぽい感じから若干煮詰まったようになったくらいで火を止めます。

ちなみに、ケチャップ&トムヤムと一緒にカレー粉も入れてしまう作りかたをやっていたこともあるんですが、それだとカレー粉がダマになりやすく(冒頭の僕が作ったカリーヴルストの写真がその例)、最悪焦げっぽくなってしまうこともあります。なので、カレー粉は仕上げにふりかけのように適量をかけるのがいいかと。

そのままでも美味しい焼きソーセージに、ケチャップの甘酸っぱさとトムヤムの酸っぱ辛さがちょうどいい具合に絡み合い、問答無用にビールがすすみます。また、カレー粉のアクセントがいいんだな~。安心感のある、ちょっとおやつっぽい味わいになって。考えてみれば、世の中には「トムヤムカレー」なんて料理もあることだし、合わないわけがなかった組み合わせでしたね。
○【材料】

・ソーセージ:5本
・ケチャップ:大さじ1/2
・トムヤムペースト:大さじ1/2
・カレー粉:適量
※すべての分量は目安です。お好みで調整してください。
○【作りかた】

1.ソーセージを約2cm幅くらいのぶつ切りにし、油少々を引き、弱目の中火にかけたフライパンで炒める。
2.全体に火が通ったら、ケチャップとトムヤムペーストをそれぞれ大さじ1/2ずつ加え、混ぜながら炒め合わせる。
3.全体がよく絡んだら器に盛り、カレー粉適量をかける。

パリッコ ぱりっこ 1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家/イラストレーター、DJ/トラックメイカー、他。酒好きが高じ、2000年代後半より酒と酒場に関する記事の執筆を始める。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。 この著者の記事一覧はこちら