旅客機では多くのモデルで、コクピットの窓は開けられるようになっています。メモリアルフライトなどでは、この窓を開けて担当パイロットが手を振ることも。ただ、この窓を開けられる理由は、ほかにも存在します。なぜなのでしょうか。
旅客機では多くのモデルで、コクピットの窓は開けられるようになっています。メモリアルフライトなどでは、この窓を開けて担当パイロットが手を振ることも。ただ、この窓を開けられる理由は、ほかにも存在します。なぜなのでしょうか。
旅客機の操縦席「実は窓開きます」なぜ? 客室窓は開けられない…の画像はこちら >>コクピットの窓が空いている元ANAグループのボーイング737-500(乗りものニュース編集部撮影)。
コクピット以外の窓を開けることは、少なくとも旅客機の客室ではありません。
というのも、多くの路線で用いられているジェット旅客機は、高度1万メートル以上で巡航を続けるためです。外の気圧は地上(高度0m)の5分の1、気温はマイナス40度という過酷な世界のなかで、窓を開けることは不可能。人間はまず生きられない過酷な環境ですすが、巡航中の機内では乗客が快適に過ごせるよう、地上に近い気圧や温度が人為的に供給されています。
にもかかわらず、多くの旅客機でコクピットの窓が開くようになっているのは、万が一の際に乗員がここから脱出できるようにするためです。
パイロットは万が一の緊急時、乗客全員が機外へ脱出したのを確認し、最後に乗客と同じように脱出用スライド(滑り台)を用いて機体から出るというのがスタンダードですが、火災などが発生した場合はコクピットに取り残されてしまうこともあります。そういったケースでは、コクピット以外の窓を開け、パイロットはそこから脱出します。
しかし「ジャンボ機」として知られるボーイング747や、JAL(日本航空)やANA(全日空)の主力機のひとつであるボーイング787のコクピットには、窓が開けられるような設計はありません。そのため、機首上部にハッチがあり、乗員はここから機外に出られるようになっています。