夏の山/重たいあしを/ほぐす声――思い出たどり17音に 小6クラス、世界に一つだけの卒業俳句集

「五七五 思い出たどり 卒業へ」-。浦添市立沢岻小学校(伊波竜子校長)6年3組の児童27人が卒業を前に、それぞれ1年間詠んできた俳句を句集にまとめた。句集後半には空欄を設け、友達同士、寄せ書きのように俳句を書き込んだ。俳句作りを通して自分の感情を表す方法や季節感を学んだ児童は今月20日、世界に一つだけの句集を手に学びやを巣立つ。(学芸部・又吉嘉例)
3組の児童は持ち上がりで2年間担任を務めた金城清香教諭のもと、5年生から俳句作りに取り組んできた。金城教諭は「季語を考え、情景を描きながら言葉にしていく俳句はすごく奥が深い。伝統を学び、素直な感情表現を身に付けてほしかった」と説明する。
季語は二つ使わない、「うれしい」や「楽しい」など直接的な感情表現は使わない-。市内の小学校で俳句作りを教えている安里恒男教諭も加わり、粘り強く決まりを伝えた。児童は毎月二句のペースで作り、互いに品評し、良い点や改善点を話し合った。
今では児童は自らタブレット端末を使って新たな季語や感情を伝える表現を集める。一句の制作時間は1時間から10~15分までに縮まったという。金城教諭は「言葉を巧みに使うようになった」とたたえる。
6年の砂川真澄さんは「言葉選びは大変だけど、楽しい気分を『ひまわり笑ってる』と例えるなど、短い文章で気持ちを表すのが面白い」。自身のお気に入りの一句は「夏の山 重たいあしを ほぐす声」。セミの声に励まされた登山の思い出を詠んだという。
桜の散る様を「蒼(あお)い空 花弁(はなびら)の舞う 冬桜」と詠んだ新里怜南さんは「季節の情景を表すのが楽しい。家でもぱっと思いついて、親に披露している」と笑う。
本紙子ども新聞「ワラビー」の投稿コーナー「俳句大賞」にも入賞経験がある長浜妃南さんは自作の中で「みずうみに ポチャンと響く かれはかな」がお気に入り。「自分が想像した情景や世界を俳句で表現するのが楽しい」と話した。
安里教諭は「俳句で自然を感じる力や友達同士で共感する力を身に付けてほしい」とエールを送った。
夏の山/重たいあしを/ほぐす声――思い出たどり17音に 小6…の画像はこちら >>

「ぼくらの俳句道」を示す6年3組の児童と金城清香教諭(最後列左端)=2月28日、浦添市立沢岻小学校