ウイスキー蒸留所の近隣住民が健康被害を訴え エタノール含む蒸…の画像はこちら >>
ウイスキーの産地として、6つの蒸留所を抱えるテネシー州の町の住民が、「ウイスキー菌」による町を覆う黒カビや健康被害を訴えている。『Daily Mail』『Insider』などの海外メディアが報じた
問題のカビは、2018年に有名な酒造会社が町に6つの蒸留所を建設して以来、制御不能なレベルで地元住民の脅威になっているという。
リンカーン郡の町では、すすけた黒いカビが人々の家だけでなく、車や木、道路標識を覆い隠している。さらには呼吸する空気の安全性にも、疑問が投げかけられている。
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ウイスキーなどの酒を蒸留する際には、エタノールを含んだ蒸気が発生する。また熟成中の酒が樽の中で蒸発するのも同様で、最終的な製造量が減ることから、「天使の分け前」とも呼ばれている。
この蒸気を好物とする菌は、地元住民から「ウイスキー菌」とも呼ばれており、町を覆う黒いカビの原因になっているのだという。
住民のパトリック・ロングさんは、黒カビによる健康被害を訴える人物の一人だ。
「私の妻は呼吸に問題を抱えており、隣人の一人はがんになりました」「蒸留所の近くを通っただけで、手の指がすべて真っ黒なカビで覆われます。我が家は年に4回は高圧洗浄をしなければなりません」と語っている。
さらに黒カビの洗浄に年間1万ドル(約136万円)を費やさなければならないこと、地元の役人は道路標識をきれいにすることを諦めたとも語った。
このような黒カビによる被害は過去にも確認されており、ケンタッキー州では2012年に住民による大規模な集団訴訟が起きている。しかし、最終的には却下されている。
なお、蒸留所を持つ酒造会社はメディアに対して「蒸留所の建設や許可については、州および連邦のすべての規制に準拠している」とコメントした。
またロング夫妻の代理人の弁護士は、裁判所は数日以内に、施設の操業停止命令を下すかどうかを決定する予定だと語った。
(文/Sirabee 編集部・びやじま)