4月から県内の65歳以上の高齢者が支払う介護保険料が月額平均6955円に引き上げられた。全国平均より730円高く、大阪に次いで全国で2番目に高い。夫婦で月に約1万4千円の出費は、家計には重い負担である。
高齢者の保険料は所得に応じて市町村が設定し、3年ごとに見直される。2000年の介護保険制度創設時の全国平均は2911円(沖縄は3618円)。「月5千円が負担の限界」と言われたが、見直しのたびに高くなり、今回も過去最高を更新した。
背景には、高齢化に伴う介護サービス利用者の増加や介護報酬の増額などがある。
県内で最も高かったのは名護市の7352円。介護施設が増えたためだという。
前回より795円増の7275円で、伸び率が12・3%と最も大きかったのは沖縄市。要介護認定率が上昇する75歳以上の後期高齢者が増え、3年間の給付に耐えられるよう試算した結果だ。
那覇、うるま、宜野湾の3市は前回と同額だが、新型コロナ禍でサービスの利用控えによる余剰分があったためで、3年後には上がる可能性がある。
市町村の規模や住む人々の状況などにより、保険料の自治体間格差は大きい。沖縄が高水準にあるのは、中重度の要介護認定率の高さや県民所得の低さなどが影響している。
さらに、働き盛り世代の健康状態も密接に関わっている。早くからサービス利用を開始し、重度化する傾向にあるのだ。
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急速に進む高齢化社会を安心して生きるために、早急に手を打つ必要がある。年を取ることは止められなくても、健康管理は個人や企業、行政それぞれの工夫と努力でできることはある。
しかし、県内の64歳未満における「介護予備軍」の多さは深刻だ。
特定健診の受診率を見ると、国が60%以上を目指しているのに対し、県国民健康保険団体連合会の調査では、34%と大きく下回っている。
検査で何らかの異常値を示す有所見率の割合が全国一高く、高血圧や糖尿病など生活習慣病の原因の一つでもある肥満率も全国ワーストだ。
県内の22年の高齢化率は23・4%だった。昨年、県人口は生まれる子の数が同じ期間中で死亡した人の数より少ない「自然減」に復帰後初めて転じた。
全国より遅れているとはいえ、今後、高齢化が急速に進む。
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一人暮らし高齢者も多く、家族で介護を支える力はますます弱まっている。
サービス利用者が増え続ければ、保険料が1万円近くになることも想定される。利用時の自己負担額の引き上げも検討されているが、経済的な理由による利用控えが懸念される。
これ以上の負担は限界といえる。公費負担の割合を増やして財源を確保するなど、誰もが安心してサービスを受けられる体制整備が急務だ。将来を見据えた抜本的な改革が必要である。