ポルシェ911(964)専門のレストア屋さんがアメリカからやってきた!

ポルシェ「911」(964型)専門にレストアを手掛ける米国の「シンガー・ヴィークル・デザイン」が日本に上陸した。高級輸入車を取り扱うコーンズ・グループと代理店契約を締結し、日本の顧客向けにサービス提供を開始する。シンガーのレストアってどういう内容? お値段は?

なぜ911専門にレストア?

ポルシェを象徴するスポーツカーの「911」を開発コードを表す3ケタの数字で呼ぶ人たちがいる。例えば初代911は901型あるいはタイプ901、いま新車で買える最新の911(8世代目)は992型あるいはタイプ992、といった具合だ。こんな呼び方ができればいっぱしのポルシェ通として世の中を渡っていくことができるだろう。

964型=タイプ964は第3世代の911だ。ポルシェの日本語HPを見ると、「タイプ964は1988年から1994年にかけて、合計63,762台が生産されました」とある。

シンガーの創業者兼会長であるロブ・ディキンソンさんは子供のころ、家族で南仏を旅行中、父親が運転するフォルクスワーゲン「ビートル」のウインドウから、駆け抜けていく緑色のタルガ(屋根が開くタイプの911)を見たとき以来、911の熱心な崇拝者になったという。大学ではカーデザインを修め、その後はミュージシャンになったりもしたそうだが、911への熱は冷めやらず、タイプ964のレストアを手掛けるシンガーを立ち上げるに至ったそうだ。

おいくらくらいかかりそう?

コーンズとの提携により、日本でもシンガーの専門的なサービスやメンテナンスなどが利用可能となった。

シンガーが提供しているのは「レストア」なので、サービスを受けるにはタイプ964のオーナーであることが前提となる。レストアでは何を取り付けるかとかどんな素材を使うかなど、細かい部分まで話をしながら理想の964を作り上げていくことになるそうだ。期間は2年半から3年くらい見ておいてほしいとのこと。

シンガーには累計で約450件の受注が入っており、そのうち数百台は納車済みのようだが、まだ受注残がありそうな雰囲気だった。順番待ちが発生することになれば、もう少し時間がかかるかもしれない。

気になるレストアの価格だが、日本参入の発表会でそのあたりについての言及はなかった。どんなレストアをするかによって価格が変動するのは当然として、だいたいの規模感が知りたい。そこで、発表会場にいたコーンズの関係者に「数千万円、といったところでしょうかね?」ととぼけ顔で聞いてみると、「おそらく、それではきかないと思います」との回答が! 1億円は軽くかかると考えておけば間違いなさそうだ。

コーンズ・モータース代表取締役兼CEOの林誠吾さんによると、同社は高級車を輸入・販売するだけでなく、「クルマって楽しい」ということを伝えていくことにも重点を置いている。シンガーのレストアは手間も時間もかかるため、「もうかる」ビジネスとは決して言えない類のものではあるそうだが、クルマを楽しむという同社の考え方に合致することから、今回の提携を決めたそうだ。