晴れ晴れ素顔で卒業 千葉経大付属高 コロナ禍3年思い出に マスク姿の生徒も

千葉経済大付属高校(千葉市稲毛区)で4日、卒業式が開かれ、政府の方針でマスクの着用を求めない形となったことで、“素顔”で式に臨む生徒の姿が見られた。一方、マスクを着けた出席者も多く、名前を呼ばれた際の返事や校歌の斉唱はなかった。入学以来続く新型コロナの影響は最後まで拭えなかったものの、卒業生は「すがすがしい」と笑顔を輝かせていた。
新型コロナの感染拡大が始まった2020年に入学した今年の卒業生ら。6月に開かれた入学式は各教室で放送を聞く形だった。クラスの半数ずつが交互に登校する分散登校も経験した。多くの行事が中止になり、九州で3泊するはずだった修学旅行は延期の末、神奈川県で1泊に短縮された。
佐久間勝彦校長は式辞で「制約の大きい3年間だった。よくこの難局を乗り越えた」と巣立つ生徒らをたたえ、エールを贈った。式ではおよそ半数がマスクを着けていたが、入退場の時のみマスクを外す出席者もいた。飛まつ防止のため、生徒らは担任に名前を呼ばれた際、返事をせず無言で起立した。校歌や国歌の合唱はなく、式典で校歌を歌う機会は最後まで訪れなかった。
それでも式後、クラスごとの思い出を振り返る企画で、集合写真のスライドショーや担任のコメント動画が流れると、マスクで隠しきれない笑顔を見せる生徒や教員らの姿があった。
マスクを外して出席した弘海龍矢さん(18)は「普通の入学式ができず、ぱっとしないまま卒業するのかなと不安だった。すがすがしい気持ちで卒業を迎えることができてよかった」とほほ笑む。「初めて顔を見るクラスメートもいて新鮮だった」と話した。
入退場時にマスクを外した井上ひなたさん(18)は「ずっとマスクで過ごしていたので外すのが恥ずかしかった」と苦笑。着用が自己判断と知りクラスでは戸惑う声も上がったという。「クラスメートに『こんな顔だったんだ』と驚くこともあった」と話した。
飯島一生副校長は「日常生活でマスク着用が必須の中、卒業式だけ外すことに戸惑いはあっただろう」と各生徒の判断に理解を示しつつ、「コロナ禍の出口が見えてきている。明るい学校生活が戻ってきてくれれば」と期待した。