コロナ後遺症疑い未診断142人 沖縄県内、受診児童生徒の2倍超

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新型コロナウイルス感染で後遺症の疑いがあるものの、医療機関の診断を受けていない沖縄県内の児童生徒が、2021年4月から22年7月までに少なくとも142人いたことが5日までに分かった。実際に診断を受けた児童生徒は同じ期間に70人で、その2倍に当たる。これまでの感染者数を踏まえると、後遺症患者はさらに多い可能性がある。
調査団体IPP(河村雅美代表)が、県教育庁の調査報告書を情報開示請求で入手した。報告書は、県内の公立小中高校と特別支援学校の養護教諭を通じて調査した内容となっている。
報告書によると、未診断の児童生徒への対応としては、「保健室で休養しながら授業へ参加」が47人で最多。次いで「欠席のため特に対応していない」(21人)、「登校はしていたが特に対応していない」(20人)など。学校別の内訳は小学校40人、中学校39人、高校57人、特別支援学校6人となっている。
IPPが入手した別の資料によると、22年4月~7月末までに感染した児童生徒は累計で2万9698人。教育庁の調査で後遺症の診断を受けたか、疑いがある児童生徒は同じ期間に114人(診断43人、未診断71人)で、単純計算で約0・4%になる。
国内外の研究や報告によって数字は異なるが、後遺症が現れる割合はおおむね1割。子どもの研究は成人に比べて進んでいないが、子どももそれに準ずるとされる。

■インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)の河村雅美代表の話 教育庁の調査は、各学校の保健室の利用状況を調べる調査の一環として実施されている。把握しようとしたことは評価したいが、後遺症に特化したものではなく不十分だ。
沖縄は感染が最も広がった地域だ。県は、後遺症に詳しい専門家と連携し、成人を含めた後遺症の実態調査を計画・実施し、適切なフォロー態勢を検討すべきだろう。
後遺症の症状にどんなものがあるのか、学校側も保護者も子ども本人も、知らない可能性もある。よく言われる味覚・嗅覚障がいや呼吸器官系だけでなく多様な症状があること、後遺症の罹患中にしてはいけないことなどを知る機会や、元通りの生活に戻るためのリハビリの体制を整えなければいけない。(談)
■第6~7波の子どもの感染は計4万7511人 IPPの情報開示請求では、第6波(22年1月1日から同年3月29日)と第7波(同年3月30日から同年9月30日)で、県教育庁に対し、幼稚園と公立小中高校、特別支援学校で合わせて累計で4万7511人(幼稚園1148人、小学校2万5821人、中学校1万89人、高校9986人、特別支援学校467人)の感染が報告されたことも判明した。教職員の合計は計3970人。
IPPは、入手したデータについて公式ホームページ(https://ipp.okinawa/)で公表している。
(社会部・篠原知恵、棚橋咲月)
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