(若狭敬一キャスター)6月5日、静岡県の鈴木康友知事とJR東海の丹羽俊介社長が会談しました。今後、リニア中央新幹線の工事は進むのか、改めてリニア中央新幹線について確認しておきましょう。
新知事誕生で静岡県でリニアの工事は進むのか? JR東海社長が…の画像はこちら >>
(山内彩加アナウンサー)はい、ルートはこのようになっています。東京・品川と名古屋を約40分でつなごうという計画で、最終的には大阪までつながる予定です。東京から名古屋までの区間は当初2027年に開業する予定だったのですが、静岡県の区間での工事が進まず、2034年以降に開業する見通しです。(若狭キャスター)静岡の区間以外は工事が始まっているんですよね?
CBC
(山内アナ)そうなんです、ただし問題も多いんですね。今までの経緯を振り返っていきます。2014年の10月、国が品川~名古屋間の工事実施計画を認めて、着工に向けた追加の調査が行われていましたが、2017年の10月に静岡県の川勝前知事が、リニア工事で川の水量が減る恐れがあることに対して「JR東海から誠意ある回答がない」「考え直せ」と発言し、工事が始められない事態になりました。そして2020年の6月、川勝前知事とJRの前社長が会談して、事態打開に向けた動きもありましたが、会談は平行線で解決の糸口はつかめなかったということなんです。(若狭キャスター)「考え直せ発言」から直接に話をするまでに、かなり時間がかかったということですね。(山内アナ)3年ほどかかっているんです。そして2022年の7月には、静岡県がそれまで加盟していなかったリニア建設促進を進める「リニア期成同盟会」に加盟しました。総会に初めて出席した川勝前知事はリニアについて「基本姿勢は整備の促進」としながらも「依然として川の水問題が解決していない」と述べていました。そして、ことしの3月にJR東海が2027年の開業を断念し、5月には川勝前知事が不適切発言で辞職し、鈴木知事が当選という流れになっています。
(若狭キャスター)大石さん、静岡県の知事がかわったことによって工事への影響というのはあるんでしょうか?
CBC
(大石邦彦アンカーマン)そうですね、鈴木知事のリニアに対する認識・姿勢がどうなのかということが鍵を握っていると思います。川勝前知事と比較しながら見ていきましょう。まず、リニアへの姿勢なんですが、川勝前知事は「水や環境保全などを理由に着工を認めなかった」。一方、鈴木知事は川勝前知事を評価しつつ、岐阜県で水位低下問題が起きると「私はしっかり水を守りたい」と訴えて、知事選では川勝前知事の支持者の票も得ながら勝利したという経緯もあるわけです。(若狭キャスター)これを見ると鈴木知事は若干ネガティブというか、「リニア反対」のような考えに見えますね。
CBC
(大石アンカーマン)そこで、鈴木知事の、国土交通省とJR東海との向き合い方を見てみましょう。まず国交省に対してですが、川勝前知事は国交大臣との対面はなく、いつも会うのは事務方ばかりでした。一方、鈴木知事は就任8日目で国交大臣と対面し、その場で「リニアに対して私は理解をしています」という趣旨の発言をしているんです。これはJR東海には朗報かと思うのですが、JR東海との向き合い方を見てみますと、川勝前知事は金子前社長と2回会っています。鈴木知事は、就任9日目でJR東海の丹羽社長と対面することになりました。丹羽社長は「大井川の水問題、南アルプスの環境保全にしっかり取り組んでいきたい」と発言しました。それに対して鈴木知事は「岐阜の水問題のことも、しっかりお願いします」と「私はそれに関してJR東海にも問い合わせをしたんです」ということも言っていましたね。
CBC
(若狭キャスター)今週はリニアに関して、ほかにも動きがあるんですよね?(山内アナ)はい、4日にはJR東海の丹羽社長と岐阜県の古田知事が会談し、7日にはリニア中央新幹線の建設を促進しようという期成同盟会の総会があり、愛知県の大村知事や静岡県の鈴木知事も参加するということです。(若狭キャスター)大村知事が、どのような発言をするのかというのも注目ですよね。(大石アンカーマン)先ほど大村知事に電話で取材してみたんですけれども、大村知事は「前の知事がやったことを急に180度方向転換はできない、徐々に徐々にリニア促進の方向に舵を切っていくのではないでしょうか」と話していました。