茂原来るきっかけの店に 県産ピーナツ菓子で特別賞 御須郁代さん(42)【ひと模様】

生まれ育った茂原市で昨年3月、「菓子屋 Norram(のらん)」を開業した。県産ピーナツを使った看板商品「ピーナッツキャラメルバターサンド」(税込み380円=工房限定価格)は、県などが開催するコンテスト「食のちばの逸品を発掘2024」で審査員特別賞に輝いた。「地元のお客様に親しんでもらい、県外からも茂原に来るきっかけになる店にしたい」と力を込める。
調理の専門学校を卒業後、県内外のレストランなどで約20年、料理人やパティシエとして腕を磨いてきた。「自分が作ったお菓子をいろいろな人に食べてもらいたい」と古里での開業を決意。店名は、実家で飼っていた愛犬「マロン」の英語のつづりを逆にして命名した。
店の看板商品を千葉の特産品で作ろうと、「数え切れないほど」の試作を繰り返して完成したのが今回の受賞作。ピーナツバタークリームを挟むクッキーの「口どけの良さ」や、塩加減にこだわった自信作だ。
コンテストに応募した59品のうち、受賞したのは5品のみで、審査員からは「ピーナツの風味が生きている」と太鼓判を押された。地元の客に加え、受賞を伝える新聞記事を見て遠く成田市からも訪れる人がいるという。
商品は当初、市内外の直売所とオンラインショップで販売するのみだったが、今年2月からは工房での直売を開始。扱う品数も少しずつ増やしてきた。個人経営で仕入れから製造、発送まで全て一人でこなす大変さはあるが、客からの「おいしかった」という言葉が何よりのやりがい。今後は夏に向け、県産フルーツを使ったタルトの販売を考えている。
「長く愛されるお菓子屋さんでいつづけたい」。一つ一つ心を込めたお菓子作りに励んでいる。