約300年続いてきた「草編み」の文化 アダンの葉を使ったボール作りから学ぶ 「大切にしていきたい」与那原町

【与那原】認定NPO法人「芸術と遊び創造協会」が運営する国頭村の「やんばる森のおもちゃ美術館」は6月15日、アダンの葉でボールを作るワークショップを与那原町の沖縄女子短期大学で開いた。県内各地から約40人が参加。同美術館学芸員の大城琴紀(ことき)さんが講師となり、琉球王国時代から約300年続いてきたとされる「草編み」の文化を伝えた。(南部報道部・平島夏実)
沖縄ではかつて、お年寄りが畑仕事の傍ら草を編んで孫におもちゃを作る文化があった。その後、セルロイドやプラスチックの安価なおもちゃに代わっていった。
おもちゃ美術館は「草編み」のワークショップを通じて自然との対話を呼びかけている。草でできたおもちゃは、最終的に自然界に返る点も魅力だという。
大城さんは「トゲナシアダン」の葉を友人宅で採取し、長さ約1メートルにカット。参加者に1人3本ずつ配った。「斜め横に引っ張ると破れやすい。力加減に気を付けてくださいね」と話しながらボールを編んでみせた。音が鳴るように中に貝殻や金時豆を入れた。
保育士を目指している沖縄女子短期大1年の仲宗根仁奈(にいな)さん(18)は「アダンって思ったより丈夫ですね」。同大1年の伊波友梨奈さん(19)は「ボールの他にもっといろいろ編んでみたいけど、この状況だと無理」と慣れない手つきで苦笑した。沖縄市から来た福地春美さん(60)は「昔の人って何でも作ってすごい。こうやって教えてくれる人がいるから引き継げる。大切にしていきたい」と話した。
会場には、大城さんがマーニ(クロツグ)の葉で編んだ長さ約2メートルのそりが飾られた。1枚の葉で編み上げたといい、「遊んだ分だけ壊れていくおもちゃです」と笑った。
参加者は美術館の内外でボランティア活動ができる「おもちゃ学芸員」に認定された。次回のワークショップは今秋ごろに参加者を募集予定。美術館は来年7月、増築した形でリニューアルオープンする。問い合わせは同美術館、電話0980(50)1022。約300年続いてきた「草編み」の文化 アダンの葉を使ったボー…の画像はこちら >>

マーニのそりを紹介する大城琴紀さん