パリッコのおつまみ革命 第50回 梅干しひと粒のせるだけ! 究極に簡単、なのに文句なしの美味しさ「いわし蒲焼缶の梅煮風」

この連載も早いもので、今回で第50回目。毎度毎度、お酒に合うレシピを考えては試作し、こうして発表させてもらっているものの、ネタがなくなるどころかどんどん新しいアイデアが湧いてくるんだから、お酒とつまみの世界って本当に楽しいなと。

そして今回は、記念すべき節目の回ということで、確実に今まででいちばん簡単なレシピ、いや、もはやレシピとも言えないくらいお手軽な一品をご紹介したいと思います。

作るのは、いわしの缶詰を使った梅煮風。
○のせるだけが正解だった

いわしの梅煮って、骨まで柔らかく、甘辛く煮られたいわしに爽やかな梅の風味がアクセントになって、暑い季節にぴったりの料理ですよね。

僕、かねてからあれを、すでに柔らかく煮られた缶詰をアレンジしてお手軽にできないかなと思っていたんです。

それで何度か、缶詰のいわしに、梅干し、しょうが、酒を加えて鍋で煮なおしてみたりと、試行錯誤をくり返していたんです。けれども、そこまでの手間をかけるなら、生のいわしを買ってきて煮たほうがいい気がするんですよね。本末転倒というか。

そこで先日思い立ち、缶詰の上にただぽとんと、梅干しをひと粒のせてみた。その梅干しをつぶしながら、いわしと一緒に食べたら、はっきり言って、それだけでなんの文句もないくらいに美味しかったんです。

ならばもう、とことん簡易版ということで、アクセントにあると嬉しいしょうがの風味も、チューブを加えるだけにしてしまいましょう。

箸などで身が崩れないように注意しつつ、しょうが周囲のたれに溶かし込みます。これをひとりで食べるぶんには、缶詰のままでもじゅうぶんなんですが、心に余裕があれば、お皿に盛り付けるとより雰囲気が出るでしょう。

というわけで、梅干しひと粒とともに盛り付ければ、はいもう完成!

そもそも僕が好きなのと、実際に作ってみたら、その甘辛い味つけと梅の風味がばっちり合ったので、今回はベースを蒲焼味で作りました。が、みそ煮や醤油煮など、他の味でも美味しくできそうな予感がしますし、もちろんさんま缶やサバ缶などでも。お好みで作ってみると楽しそうですね。

ちなみに、このレシピのただひとつのポイントは、せっかくだから梅干しだけは、それなりにちゃんとした値段ものを使うこと。今回は我が家の定番、「紀州梅の里 なかた」の「田舎漬」を使いました。大粒の南高梅って、味はもちろん、見た目からして贅沢感がありますよね。それが、リーズナブルな缶詰をまるで高級和食の一品のように輝かせてくれるので。
○【材料】

・いわし蒲焼缶:1個
・チューブしょうが:適量
・梅干し:1個
※すべての分量は目安です。お好みで調整してください。
○【作りかた】

1.いわし蒲焼缶を開け、チューブしょうが適量を絞って全体になじませる。
2.梅干しをのせる。

パリッコ ぱりっこ 1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家/イラストレーター、DJ/トラックメイカー、他。酒好きが高じ、2000年代後半より酒と酒場に関する記事の執筆を始める。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。 この著者の記事一覧はこちら