黒沢年雄も激怒した“ひどいタクシー運転手”の実態…Suicaで支払いを拒否

俳優の黒沢年雄さんのブログが、私たちタクシードライバーの間で話題になった。
「ダメ人間のタクシー運転手。」というタイトルで、「心ないタクシー運転手」について書かれたものだ。「道がわからないので、スマホで指示」した黒沢さんに対し、そのドライバーは「この辺りは詳しいし、ベテランだから必要ない…それにそんな店はこの辺りにはない」と言ったという。
黒沢さんが「スマホにあと3分(と表示)ですよ」と返すと、ドライバーは「じゃ…降りてくれ」と言い放ち、黒沢さんが「家内が病気なので、あまり歩けないので…」と説明すると、渋々走り始めたという。
幸い、目当ての店にはたどり着けたようだが、黒沢さんはこうしたドライバーに1カ月で2人出会い、両者とも60代後半だったという。
この件に対して、ドライバー仲間のほとんどが「こんな返事をする運転手なんてありえない」と異口同音に語った。
「店の住所がわからないにしても、スマホで指示してくれるんだから、その通りに走らないと。それが俺たちの役目だよ」
「そんな店はこの辺りにない、と言ったそうだけど、俺たちが知っている店は昔からある店だけ。開店や閉店が相次いでいる中、すべての店がわかるドライバーなんていないよ」
「詳細はわからないけど、近距離客だったんじゃないかなぁ。俺たちはロングだとうれしいけど、ワンメーターの客がいるからこそ食えているのも事実。近場の客が遠くの客を巡り合わせてくれる、と思わないと……」

とある病院で客待ちをしているときのこと。私のタクシーは2台目につけていたのだが、前の車(1台目)をスルーした客が乗ってきた。「ごめんなさい、近くて。前の車の運転手さん、先日乗った際に返事もしなかったの。到着して『Suicaでお願いします』と言ったら『無理です』って。処理用の端末が見えているのに……」
見ると、前の車のドライバーは私と同じ会社の年配者で、仲間からも嫌われている人だった。私も普段、話すことはない。黒沢さんが遭遇したドライバーと同じようなタイプだからだ。
実は、乗客からこのドライバーに対する苦情を聞くのは3度目だった。申し訳なく感じた私は「ウチの会社の運転手です、すいません」と謝りながら世間話を始めた。
「今日の病院は混んでいましたか?」
「2時間待ちだったわ。まだ大勢残っているわよ」
目的地に着くと、その乗客はSuicaで支払いを終えた後、コーヒー代としてチップを置いていってくれた。
「苦情をもらうな、チップをもらえ」――私が勤めるタクシー会社の社長の言葉である。
この後、病院に引き返すと「高速に乗って横浜まで行ってください」というロング客に巡り合えた。乗客と話をして情報をもらうのも、タクシードライバーとしてのコツであり、仕事を楽しくするテクニックである。
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