東千葉メディカルセンター汚職 元課長、金銭授受一部認める 贈賄会社に12億円超支出 理事長「深くおわび」

東金市の地域中核病院「東千葉メディカルセンター(MC)」の医療事務契約を巡る贈収賄事件で、収賄容疑で千葉県警に逮捕された元総務課長、久米忠之容疑者(46)が一部の金銭授受を認めていることが8日、捜査関係者への取材で分かった。久米容疑者は同課長に就任した直後から贈賄側の会社に随意契約で医療事務を委託しており、その後も委託業務を追加。センターが同社に支払った金額は約12億7千万円に達する。県警は同日、久米容疑者らを送検し、癒着の実態解明を進める。
センターの河野陽一理事長らは8日会見。河野理事長は「信頼を失墜させ誠に遺憾で、深くおわびする」と改めて謝罪した。
久米容疑者の逮捕容疑はセンター総務課長だった2019年9月~20年10月、医療事務契約で便宜を図った見返りに千葉市美浜区の医療関連会社「メディカルサポート」社長、桑田久雄容疑者(62)=贈賄容疑で逮捕、送検=から数回にわたり現金計2700万円を受け取った疑い。捜査関係者によると、桑田容疑者は容疑を認めている。
センターなどによると、久米容疑者は18年4月、前理事長の紹介で総務課長として採用された。履歴書や雇用契約書は残ってないといい、センターの鈴木勝事務部長は久米容疑者について「病院関連の勤務経験はあったと想定されるが、確認できていない」と回答した。
久米容疑者が課長になった翌月の同年5月、センターは同社に外来の受付などの医療事務を月額910万円の随意契約で委託。その後も委託業務契約を追加で結び、20年3月には同社への委託料が月額2813万円に上った。

センターが昨年3月までに同社に支払った総額は約12億7千万円。いずれも正式な契約書を交わさず、口頭などで随意契約されていた。業務実態の確認できない契約もあったという。センターは約3億円が不当な支出だったとして、同社に返還を求める訴訟を千葉地裁に起こしている。
久米容疑者は一時、財務や管財も所掌する事務部長の代行を兼任するなど同センターの事務全般に強い権限を持っていたとされる。鈴木部長は「総務課長として人事の権限を強く握っていたようだから、他の人に物言わせない雰囲気はあったと思うが、人の見方はそれぞれのため評価は差し控える」と話した。センターは21年5月、久米容疑者を懲戒解雇した。
昨年4月に就任した河野理事長は「今までの病院の勤務経験の中で、総務課長がこれだけの影響力を持っていたことは、ありえない。センターの管理体制の不備が不祥事につながった」と言及。信頼回復へ組織の立て直しを進めるとした。