「感謝の気持ちをプレーで示したい」。千葉市美浜区のＺＯＺＯマリンスタジアムで６日に行われた夏の高校野球千葉大会の開会式に、白井高校２年の林恭正主将（１７）は特別な思いで臨んだ。「ずっと１人で頑張ってきたと思う」。視線の先にいるのは、唯一の３年生として下級生たちを支えてきたマネジャーの星屋結愛さん（１７）。２年ぶりの単独出場に気合は十分。たった１人の先輩の“最後の夏”に恩返しを誓う。
白井高は昨夏、連合チームで出場。「今年もまた連合かな」。林さんの想定とは裏腹に今春、未経験者を含む１年生が１２人入部し、単独でチームを結成できるようになった。他に２、３年の男子部員がいないため、林さんは２年生にして主将としてチームを束ねている。
一方で、あいさつなど野球以外の分野で下級生を「ビシバシ」指導するのは、３年の星屋さんの仕事。２人はグラウンド内外で役割を分担して、ほぼゼロからの船出となったチームを引っ張ってきた。
先輩後輩の間柄ながら、林さんは星屋さんに対して敬語を使わず「ため口」。星屋さんは「なめられてる」と自嘲するものの、そこには独特の信頼関係がある。
「やめようか迷った時期もある」と振り返る星屋さん。それでも「（林さんが）１人で頑張ってるから支えたいと思って」踏みとどまった。１１日に迎える初戦も「万全な体調でいけるように体調管理でサポートしたい」と意気込む。
はにかむ２人の視線はなかなか合わないものの、見つめる先は同じ。「最後の夏なので勝ちたい、勝たせてほしい」と願う星屋さんに、林さんも「絶対に勝つ。残り少ない練習を全力でやる」と力強く応えてみせた。