「2人目産むの無理」「年の差兄弟損じゃん」…保育料で年100万円“私立大学の学費並”、年の差で軽減措置に差

岸田文雄首相が打ち出した「異次元の少子化対策」をめぐり、複数の自治体で動きが出ている。国に先駆けて、東京都や福岡市などが第2子の保育料無料化を表明。日本維新の会は第1子から所得制限なしで保育料を無償化し、大学(大阪公立大では実現済み)までの学費の実質無償化(高校、大学は所得制限あり)という大胆な公約を打ち出すなど、「保育料」が注目を浴びている。
■働く女性が「一番支援欲しい時期」
保育料をめぐる問題に、摂南大・堀田裕子教授(現代社会学部就任予定)は「フルタイムで働く人は、高い税金を納めていても、子育てに関することなど経済的に優遇されていない。出産後も働き続けようという女性にとって一番支援が欲しい時期の0~2歳児保育料も高いまま」と指摘したうえで、「共働き世帯に優しい自治体の出現に期待。ただし、より深刻な困難を抱えるひとり親家庭への支援が大前提ではある」とした。
■年間100万円“私立大学並み”保育料
保育料の実態は、収入によって決まる。0~2歳児の認可保育料の保育料は家庭によって差が大きく、無料の世帯もあれば一部の世帯では年間100万円近くと“私立大学並み”にかかる場合がある。また、保育園に入園する際、両親が共働きなど、保育を必要とする理由の合計点によるポイント制で算出された点数が並んだ場合、高所得世帯は優先順位が下がるという自治体も多い。これについて、「親の収入で子供を差別している」「高所得者は所得税や社会保険料などガッツリ払っているのに保育料も年間100万近くとか二重課税みたいなもん」「同じサービスを受けているのになぜ保育料に差が?」という意見もネット上には多い。

■年の差きょうだいは割引なし
また、第2子の保育料について、第1子が在園している場合は半額免除だが、第1子が卒園した場合は割引がなく全額徴収(年収360万円以下は年齢制限なし)というルールの自治体が多い。これについても「第2子なのに第1子が卒園したからって保育料安くならないのほんとイミフ」「年の差兄弟損じゃん」「第2子なのに年の差兄弟だからって保育料満額って納得いかない」など疑問の声が上がっている。
■働く女性は続けて産みにくい
保育園2歳児クラスに通う子供をもつ会社員女性は、保育料は「諸経費含め、年に約100万円」と高額。「まだ結婚して数年しかたってなくて貯金もそんな余裕があるわけではない状態なので、いきなり年100万があるときつい」と保育料を重荷に感じているという。女性の子供が通う保育園ではきょうだいが同一在園の場合に保育料が半額になる軽減措置があるが、「第2子を1歳から保育園に入れるとすると、1、2歳児クラスで半額にするためには上の子が4歳頃までに産まないといけない」とリミットは迫っている。「年100万を再び支払うというのは心理的に厳しい」と、もし4歳差以内で妊娠しなかった場合には、出産を諦めることも検討しているという。その女性は子供が1歳で保育園入園と同時にフルタイムで仕事復帰。妊娠前とは別の業務に就き、慣れない仕事に奔走するなか、頻発する子供の体調不良への対応などで休みがちに。「仕事を覚えて、ある程度戦力になるまでは2人目妊娠とかは考えられなかった。あっという間に2年が経ち、気付けば(保育料第2子半額の)リミットまであと1年ほどしかない。夫は単身赴任で別居中だし、このまま一人っ子になりそう」と、第2子の保育料も産み控える理由だと話す。

■「子育て罰」で産み諦め
昨年にスポーツ報知WEB版で公開した「子育て罰」に関する記事では2人目、3人目を欲しかったが、給料の3分の1~4分の1ほどを税金で納めていても所得制限で支援のない児童手当、こども医療費(自治体による)、高額な0~2歳児保育料、高校学費、奨学金も申し込めない大学の学費の高さなどの不安から「産むのを諦めた」という所得制限世帯の声が多数寄せられた。11年に年少扶養控除が廃止となり、そのかわりとしての児童手当も所得制限でなくなったこと、消費税の増税や社会保険料などの負担も増えていることへの不満の声も多数上がった。