大野利政さん(仮名)と鷹見彰一(仮名)さん。6年前から“ふうふ”として暮らす二人。
同性婚は認められなくても「同じ苗字」に 法律では“他人”の3…の画像はこちら >>
犬1匹と猫1匹。そして、2023年9月に幼児の男の子を迎え、養育里親として2人で育てています。(鷹見彰一さん)「お互い子どもが好きな方で、もし子どもがいたら、こうだよねという話をよくしていた。大阪で男性同士のカップルが里親認定を受けたというニュースを見て、すごく衝撃を受けたのと同時に、日本でも里親という選択は同性でもできるんだと。どう頑張っても同性で生物上、男なので子どもはできない。なので『生まれてきて、ありがとう』というのと『ママをさせてくれて、ありがとう』といつも絶対言っている」
家族3人の生活。しかし法的には、2人は夫婦ではなく、養子を迎える事もできないため、全員があくまで同居人。一つの「家族」とは認められていないのです。
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同姓婚が法律上認められない日本。二人の間では配偶者控除や相続、手術の同意など夫婦なら当たり前のことが難しい現状も。
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(鷹見彰一さん)「どちらか一方が亡くなった時のことを常に不安に感じる。なるべくお互いの口座名義に同じくらい貯蓄がたまるように振り分けている。普通に結婚できているご夫婦だと相続税になるが、うちの場合だと他人なので贈与税になってしまう」弁護士立ち合いのもと、互いを人生のパートナーとする「公正証書」も作っていますが、そもそも同性婚を認めない日本の法律を超えることはできません。(大野利政さん)「自分たちは今、この家族3人で過ごすっていうのが、すごく幸せな家庭として過ごしているんですけれども、法律上のところでは全く認められていない」
こうした中、同性婚を認めないのは憲法違反だと国を訴えた、いわゆる「同性婚訴訟」が続いています。
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2019年に名古屋を含む全国5か所で一斉に提訴され、大阪では敗訴、東京・福岡では憲法に違反している状態、そして大野さん達も原告となっている名古屋と札幌では、明確に憲法違反の判断が示されました。5件のうち4件で違憲状態の判断が出た中、原告は損害賠償を求め控訴していますが、2024年3月には…。(北海道訴訟 原告 中谷衣里さん)「望んでいた待ちに待った違憲判決がでて、今すごくうれしい気持ち」二審の札幌高裁で再び「違憲」の判断が示されました。それでも国は同性婚を認めない立場をとっています。
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(林芳正 官房長官)「いずれも現段階では確定前の判決でありまして、また他の裁判所に同種の訴訟が継続をしておりますことから、その判断も注視してまいりたいと思います」(鷹見彰一さん)「一番ショックなのは毎回判決が出るたびに官房長官などが『国として、とても重要な問題なので』と言われるのが、まるで私たちがいることが問題のような形に受け止められるような気がして、厄介者みたいな感じに思われてるのかなとか…」
名古屋の裁判で大野さん達を支援する堀江哲史弁護士は。
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(愛知訴訟弁護団 堀江哲史弁護士)「こんなにも違憲の判決が続くのは、法律の世界に身を置く弁護士として、なかなかないことだと思う。被告である国側も、憲法が同性婚を禁止しているという表現・主張はしていない。想定していないという主張はするんですが、つまり憲法は同性婚を禁止はしていない。少なくとも禁止していないのであれば、法律で同性婚という制度を作れば、そのまま憲法を変えることなく、同性カップルにも婚姻という制度は開かれるというふうに考えていいと思う」
3人で暮らすようになって生活も変わりました。(大野利政さん)「特に何も言わなくても、我が家を受け入れてくれる人がすごく増えた。『どういう関係ですか?』と聞かれることもなく、ありのままを受け入れて接してくれる人がすごく多い」
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そして、鷹見さんは…。(鷹見彰一さん)「私の個人的な夢を叶えてもらった感じになったんですけど。ちょっと古い固定概念なんですけど、結婚したら名字は変わるものだという認識をすごく強く持っていた。弁護士の先生と、そのあたりを話していた時に『難しいかもしれないが(申立書を)出せるのは出せる』『ダメもとでやってみたい』と(名字変更の)申立書を作り、家庭裁判所に提出した結果、許可が下りた」2024年3月、大野さんと同じ名字に変更しました。家庭裁判所は2人を「婚姻に準じる関係にある」と認めたうえで、名字が違うのは生活上支障があると判断、変更を認めました。(大野利政さん)「名字が変わったこともうれしいですし、司法の場である家庭裁判所が普通の家庭と変わらないと言ってくれたのも、すごく二重にうれしい出来事だった」育てている男の子は扶養家族ではありませんが、役所は3人の関係を認め認可保育園で受け入れてくれました。ほかの保護者からも理解してもらっているといいます。
そして鷹見さんは職場でもカミングアウト、同僚も理解を示しています。
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(鷹見さんの同僚)「なんとなく、そうかな…とは感じてましたし、カミングアウトしてくださって『そうなんだね』という感じで」「言ってもらって良かったと思います。おうちでどう?とか、そういう普通の話も普通にできる」
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地域は3人を家族として受け入れている一方で、今も立ちはだかる法律の壁。願うは多様性を認める社会の実現です。(鷹見彰一さん)「反対している方々に賛成してほしいわけではなくて、反対の意見もあっていいと思う。早くちゃんとした議論を重ねていってほしい」