切ったの誰!? 聖地を包む保安林、無断で伐採 沖縄「セーナナー御嶽」近く 勝手に道が作られる

沖縄県うるま市の伊計島で今月中旬ごろ、県管理の保安林が何者かによって無断で伐採された。島南端部にあるセーナナー御嶽周辺で、御嶽や海岸へとつながる道が作られていた。周辺は近年、インターネット上で「パワースポット」などと称される。伊計自治会の玉城正則会長は「間違った知識で踏み荒らされては困る」と憤る。(中部報道部・仲村時宇ラ)
県南部林業事務所によると、保安林は森林法に基づき、潮風や高潮から畑や公共施設を守る「潮害防備保安林」に指定され、伐採は禁止されている。職員が23日に現場で無許可伐採であることを確認。25日には周辺5カ所に保安林を伐採すると罰則が科される可能性があるとの文書を掲げた。
同事務所は「伐採した人を特定できれば植栽などによる原状回復を指導できるほか、その後の是正勧告や命令にも従わない場合は刑事告発を検討する」とした。
関係性は不明なものの、今回の道がつながる海岸付近には約10年前から丸鏡がはめ込まれた岩や水がめ、神をまつる碑文が書かれた石碑などが置かれている。
近年ではそれらがセーナナー御嶽と混同され、パワースポットとしてユーチューブやSNSなどで紹介されており、島外から訪れる人もいるという。伊計島では2021年4月に伊計グスク内の拝所が荒らされ、中にあった人骨などが盗まれるなどの被害も発生した。玉城自治会長は「セーナナー御嶽は昔から聖地とされ、地元の人も気軽には立ち入れない場所だ」と安易な発信や訪問にくぎを刺した。
海岸を管理する県中部土木事務所によると、この場所で設置物の許可申請は出ていない。一方、「無許可でも県が直接撤去することなどはできない」という。
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無許可伐採で作られた道を示す伊計自治会の玉城正則会長=25日、うるま市与那城伊計