【大宜味】国指定天然記念物のヤンバルクイナが昨年7月に名護市源河の山中で初確認されたことを受け、同市羽地支部区長会の区長10人が大宜味村内でこのほど、やんばる3村で実施されているマングース防除事業の現場を視察した。
一行は、大宜味村塩屋と東村福地ダムを結ぶ「SFライン」に設置されたわなや北上防止柵を見学。わなの設置などを担う南西環境研究所の中田勝士研究員が解説した。
中田さんは、北上防止柵は金網構造で、約1メートルの垂直ジャンプをするマングースに対して柵の高さは約1メートル20センチに設定し、爪がかからないように上部30センチは鉄板にしていると説明。マングースが地面を掘って通過できないよう金網は地中まで埋める工夫をしているとした。
SFライン以北に取り付けられたわなは約1万8千個で、2007~22年の捕獲数は5722頭に上るという。
中田さんは「名護市にヤンバルクイナが戻るのは良いこと。区長の皆さんが積極的に話を聞いてくれた意義は大きい」と話した。
視察を企画した渡久地豊呉我区長は「マングースがいなければヤンバルクイナは南下する。世界自然遺産の入り口地域の区長会が先陣を切って理解を深めることで、名護市以南の県民にも自然遺産を支える意識が広がれば」と語った。(北部報道部・比嘉海人)