福岡県を中心に運行する西鉄バスは、福岡都市高速の一部区間を走ります。一般的な路線バスが高速道路を走る姿は、他地域ではあまり見かけませんが、一体なぜ高速道路を走れるのでしょうか。
福岡県を訪れた際、路線バスが高速道路を進んでいくのを見かけました。「路線バスが高速道路に入る? 立ったままの乗客はいるし、シートベルトをしていないけど大丈夫なの?」――一体なぜなのでしょうか。
「路線バスが高速走ってる!」が当たり前 一体なぜ? 福岡の常…の画像はこちら >>都市高速を経由する西鉄バス(画像:PIXTA)。
路線バス車両が高速道路を走行するのは、少なくとも現在の東京ではまず見られない光景です。はじめて福岡に訪れた際、なかなかの衝撃を受けました。実際に都市高速を走行するバスに乗り込み、あたりを見渡すと、他にも数台の路線バスが同様に都市高速を走っていました。
福岡の繁華街である天神へ向かっていた西鉄バスが、ちょうど福岡高速環状線の荒津大橋を通過。目の前に広がる海に感動しながらもドキドキしつつ都市高速を走るわずか数十分の不思議な体験をした記憶があります。
もちろん地元の人にとっては日常的な光景なのか、特に戸惑う人もいませんでした。
ではなぜ路線バスが高速道路を走ることができるのでしょうか。西鉄バスの担当者は、「国土交通省で定める道路運送車両法で正式に認められており、基準緩和認定を頂いているためです」と説明します。
都市高速を走行する際は、「都市高速を走行する距離もしくは時間が運行経路全体の2分の1以下であること」「都市高速内は(80km/h規制区域であっても)60km/h以下で走ること」「ABSがついている車両であること」など、いくつかの条件があるそうです。
さらに、そうした基準緩和を受けたことを示すステッカーを車両前面・後面・運転席に掲出すること、60km/h以上の速度が出た場合に運転手へ警告する機能(ランプ、ブザー)が装着されていることも決められているといいます。
こうした高速道路を走る一般路線バスは、2024年現在、首都高速では東武バスウエストがさいたま新都心駅発着でS2埼玉新都心線経由のバスを走らせているのが唯一。神奈川県では相鉄バスに横浜新道経由の路線があるほか、広島県では広島高速経由の路線が複数あります。