多発する川遊びでの水難事故 緩やかな流れと思って水に入ると…川に潜む「4つの見えない危険」

猛暑日が続く中、川遊びに行こうかなという方もいるかもしれません。ただ、毎年この時期には水難事故が多発しています。川に潜む「4つの危険」を専門家と徹底検証しました。
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毎年繰り返される川の事故、なぜ起きてしまうのか?川に潜む「見えない危険」と対策を徹底検証しました。岐阜県中津川市の付知川(つけちがわ)。川の水は底が見えるほど透明で、平日でも川遊びをする人の姿が。(川遊びに来た人)「クールダウンして、めちゃめちゃ気持ちいい。家に帰りたくない」「暑いから冷たくて気持ちいいところが楽しい」今回、解説をお願いしたのは水難防止教育について研究している岐阜聖徳学園大学の稲垣良介教授です。(岐阜聖徳学園大学 教育学部 稲垣良介 教授)「中学生以下の子どもに限ると、川の事故が突出して多いということも特徴」去年、水難事故の死者と行方不明者は743人。中学生以下に限ると事故の6割近くは「河川」で起きています。
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稲垣教授は川には4つの「見えない危険」が潜んでいるといいます。(岐阜聖徳学園大学 教育学部 稲垣良介 教授)「きょうの付知川の水温を確認してみたいと思います」水温を測ると約22℃。この時期、屋外のプールは水温が30℃を超えることもあるので、川の水は10℃も低いのです。長時間、水に入っていると意識を失う可能性も…。(岐阜聖徳学園大学 教育学部 稲垣良介 教授)「入水するときは川の水が冷たいことを想定し、ゆっくり入水することが重要」さらに…
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透明度が高い川は川底が見えているので、それほど深さを感じません。しかし…。(岐阜聖徳学園大学 教育学部 稲垣良介 教授)「(光が)屈折しているので、実際には見た感じよりも深いということになる」(報告:大野和之記者)「今は普通に足がついていて、同じ深さの川底が続いているように見えるのですが、一度歩いて見ます。あ、全然足がつかないです、急に」足下を救われたかのように、バランスを崩してしまいました。このあたりでは水深90センチほどの場所が続きますが、突然、深さが1メートル60センチほどになることも。特に大きな岩の近くはこうした危険が潜んでいるといいます。さらに…。
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岩の近くは流れが緩やかですが、一歩、足をふみだすと…。(報告:大野和之記者)「今、岩の後ろなのですが流れは緩いです。安全に立っていられます。一歩前に出てみます。うわ、岩につかまっていないと体が支えられない状態です」流速計を入れてみると…。(報告:大野和之記者)「今、秒速が77(センチメートル毎秒)。ものすごいスピードですね」一方、岩の近くでは流速が7分の1以下の秒速約10.5センチでした。(岐阜聖徳学園大学 教育学部 稲垣良介 教授)「岩の後ろと横で距離は2メートルほどしか離れていませんが、全く違う環境がそこにはある」
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一方、危険は流れが穏やかなところでも…。ほとんど流れがないように見える、この場所。ここにも危険が…。(岐阜聖徳学園大学 教育学部 稲垣良介 教授)「大人ではなく子どもの体重でも、非常に足が取られやすいので、より危険」足をとられるとはどういうことか…、再び川に入って確かめてみました。(報告:大野和之記者)「(川の中央に向かって)入っていくと…、砂利が滑って戻ってこられなくなります」川底は角度があるうえ、砂利がたまっていて、足を動かすと斜面が崩れてしまいます。(報告:大野和之記者)「引っ張ってもらわないと戻ってこられない状態、身の危険を感じる場所です」(岐阜聖徳学園大学 教育学部 稲垣良介 教授)「特に小さなお子さんは、より安全なところを選ぶのが優先」
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「見えない危険」があふれる川。命を守るためには大人でも必ずライフジャケットを着用し、流された場合は無理して泳がずに足を下流に向けて「浮いて待つ」のが鉄則だということです。今回、検証した4つの「見えない危険」について稲垣教授は。(岐阜聖徳学園大学 教育学部 稲垣良介 教授)「4つの環境(危険)があるがゆえに川は楽しい、表裏一体。バランスをとりながら危険を回避して楽しく安全に遊んでほしい」8月6日には三重県亀山市の安楽川で、川遊びをしていた男子高校生が溺れ死亡しました。東海3県で、ことし川の事故で亡くなった人は、少なくとも22人にのぼります。楽しい夏の思い出を一変させるかもしれない、川の「見えない危険」。お出かけの前には改めて確認をお願いします。