≪後編≫人材受け入れへ注目されるベトナム地方都市 日本語教育など課題も…魅力ある環境整備へ「育てるつもりで受け入れを」【新潟】

都市部での人材の獲得競争が激化する中、注目されるベトナムの地方都市。課題もある中、働く場としていかに新潟を選んでもらうのか模索が進んでいます。2回シリーズ後編です。今回の新潟県訪問団の主な目的地であるベトナムの地方都市ビンロン省とタインホア省に向かう直前、一行が立ち寄っていたのは、経済の中心地ホーチミン市の人材送り出し機関です。ベトナムの学校を卒業した若者に日本語などの教育を行い、労働人材を日本に輩出しています。【花角知事】「将来日本でIT技術者として働いてみたい気持ちはある?」【ベトナムの若者】「はい」国内ではまだ雇用の場が十分ではなく、海外を目指す若者が多いというベトナム。しかし…【新潟県産業労働部 野上文敏部長】「どういうところで働いてみたい?」【講師】「実は行き先がもう決まっている。どこに行くんだっけ?」【ベトナムの若者】「私は岐阜県」「富山県」「神奈川県」…一行が触れたのは日本の都市間でも激しさが増している人材獲得競争の実情です。
都市部での人材需要の高まりとともに人件費も上がる中、県が注目するベトナムの地方都市。そんな地方にいち早く進出した県内企業があります。【TOWA JAPAN渡邉豊社長】「ホーチミンでは製造業なかなか人が来なくなった。じゃあどうしてビンロン省にしたのかというと、技能実習生を含め人がとりやすいだろうと」一行が視察したのは県内から唯一ビンロン省に進出するTOWA JAPANの現地法人の工場です。新発田市で精密部品加工を手がけるTOWA JAPANは1996年にホーチミン市に現地法人を立ち上げ、地方都市であるビンロン省には4年前に工場を建設し現地の若者を雇用しています。渡邉社長は、現地の従業員について定着率や技術習得の意欲が高いと評価する一方…【TOWA JAPAN渡邉豊社長】「片言では仕事にならない。(日本語について)仕事で使えるようなコミュニケーションが取れるようなところまでのレベルを上げてほしい」都市部と比べ、地方には日本語を学べる教育機関が少なく日本語でのコミュニケーションの面で課題もあるようです。
今回の訪問では参加した県内企業と現地の若者が直接触れ合う機会も設けられました。【記者リポート】「ビンロン省の会議施設。こちらでは人材獲得を目指す県内企業が、ビンロン省の学生に会社をアピールする人材マッチングイベントが開かれている」【通訳】「バスに関する基本の言葉を勉強すればいい?」【参加企業】「N3(日本語検定)はマスト」【参加企業】「新潟でも日本語学校があるので、ぜひ申し込んで」マッチングイベントの会場でも、コミュニケーションを心配する声があがりましたが、それでも仕事内容などについて熱心に耳を傾ける若者の姿に…【参加企業】「皆さんが困らないよう普段の生活や仕事、バックアップするので安心していただきたい」企業にとって地方人材への期待感を高める機会となったようです。【参加企業は…】「目の輝きが違う。皆さん真剣に話を聞いてくれて今後地方では目があると感じた」今後いかにして課題を乗り越え働く場として新潟を選んでもらうのか…花角知事は、教育を含め人材が成長できる場として魅力ある環境を整える必要性に触れます。【花角知事】「(ベトナムの地方人材を)単なる労働力という目で見る、受け入れるのではなくて彼らを育てるんだという思いで、仕事や生活の場として選んでもらう環境づくりが重要」人手不足が深刻となる中、ベトナムの地方人材の活用は新たな一手となるか…模索が続きそうです。