パンダのタンタン“神戸のお嬢様”心臓疾患の体調管理「知識やデータ将来につながる」中国返還今年末に延期

■神戸市立王子動物園・梅元良次さんに聞く 東京の上野動物園、和歌山・白浜町のレジャー施設「アドベンチャーワールド」のジャイアントパンダ計4頭が2月末、中国に返還された。一方で兵庫・神戸市立王子動物園のタンタン(雌、27歳)は、高齢による体調不良などの理由で日本に残った。優雅なしぐさから“神戸のお嬢様”とも呼ばれるタンタン。同動物園のツイッターを更新する飼育担当の梅元良次さんに現在の様子を聞いた。
■人間の年齢で81歳 現在27歳のタンタンは、人間の年齢にすると約3倍の81歳。ちょっと短い手足が特徴で、梅元さんは「フォルムが皆さんが思い浮かべる、これぞパンダという体形ですね」と目を細める。
当初は2020年に中国に返還予定だったが、コロナ禍で延期。21年春には高齢による心臓疾患が見つかり、22年の返還が23年末まで延長された。現在は毎日様子を観察し、毎週中国に状態を報告する“タンタン・ファースト”で見守る梅元さんは「食欲が元気な頃に比べて落ちていますね。一番の好物はタケノコ。中国には年中はえていて、四方竹(しほうちく)という底が四角のタケノコは秋になるんです。柔らかいものが好きですね。竹も季節や採ってくる場所によって好き嫌いがあります」とグルメなお嬢様に苦笑いした。
体調管理のため、22年3月から一般には非公開。週に1回の休園日で、天気がいい日には外で日光浴も行う。「心臓の病気は治らないですが、タンタンにしている血液検査、レントゲン、エコーというのは知識やデータとなって将来につながると思います。中国でもほとんどないという話なので、これもひとつの財産になるのかなと思います」と梅元さん。毎日起きてから、ごはん、検査、自由時間、お薬のジュースといった1日の流れを崩さないよう心がけているという。中国への返還に関しては気にしていないそうで「常に元気な状態で返せる状態に持っていきたいという思いは、みんな持っています。環境が変わるデメリットを、中国側がよく考えてくれているのが今の現状」と明かした。
20年からタンタンの様子を公式ツイッターで毎日発信している。その表情からくみ取られた言葉に、クスッと笑えるユーモアと愛情があふれている。梅元さんは一番の魅力について「表情が豊かなのでかわいいなと思いますね」。まもなく花見の季節。パンダ舎のすぐそばに咲く桜の木を見上げつつ、ウトウトとお昼寝するタンタンの画像も見られそうだ。