「キャンセル待ち8000人」の体験イベントを企画したサントリー社員 背景に深いこだわりと情熱

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サントリーが都内某所で企画しているミッションクリア型リアルイベント「あの夏休み自販機」(24日~31日)が、開催前から話題だ。約200人の参加者募集に対し、現在キャンセル待ちが8,000人(22日18時現在)という盛況ぶり。イベントの仕掛け人に思いを聞いた。

都内某所の一軒家を借り切って行われる同イベント。22日、メディア関係者を集め体験会が行われた。
参加者は「小学生時代の夏休み」にタイムスリップした体験を味わいながら、同時に“とある謎”を解くため、建物内を散策する。用意された伏線が次第に回収され、最後には衝撃のラストシーンが待っているという40分間だ。
自分がドラマの主人公になったかのような、今回のリアル体験イベントを企画したのはサントリー。自販機登場や室内でのジュース提供などもあるが、それらはストーリーの一片でしかなく、特定商品のPRは一切行われない。ここまでPR色“激薄”企画に、マスコミ各社が呼ばれることは珍しい。
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建物内は「2004年」で時代感が統一されている。
子供部屋にあるMDコンポからは、当時人気を博していたORANGE RANGEの『上海ハニー』が流れ、ハンガーにはCOCOLULUのデニムがかけられている。ポスターにはサッカー・イングランド代表のベッカム選手。この時代に10代を体験した者ならわかるが、すべてがエモく懐かしい。
仕掛け人であるサントリー食品インターナショナルのブランドマーケティング本部・伊藤正明氏は、「小学生の頃、友達の家で飲んだジュースってすごく美味しかったですよね? そんな誰もが覚えている記憶を、飲料を通し追体験する企画を作りたい、と始動したのが本プロジェクト。家へ入った人が皆、懐かしいあの日にタイムスリップした経験ができる」と語る。
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商品をイベント参加者やマスコミにプッシュするのではなく、伝えたかったのは「サントリー、なんだか面白いことやってんなぁ、というイメージ」だと伊藤氏は続ける。
「ストーリー性はもちろん、空間づくりには特にこだわりました。スタッフみんなで『あんなグッズ流行ってたよね』『こんな物が家にあった』などアイデアを出し合って、“2004年の家”を再現」(伊藤氏)。
特に雑誌やコミックなど書籍の手配は難航したらしく、「勉強机にあるテキストや教科書は用意するのが大変でしたね。20年以上前に発刊された物で、かつ美品じゃないといけない。各オークションサイトを見続けた日も…」と伊藤氏。
ちなみに、前述ORANGE RANGEの楽曲はレーベル側に使用許諾をとるなど、権利周りもしっかり詰めたそうだ。
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イベントは1週間(各日7部、最大4名)に渡って開催される。しかし、最大約200人の募集に対し、その数十倍もの応募が殺到。現在8,000人のキャンセル待ちというから驚きだ。
伊藤氏は手応えを感じつつ、「参加者の皆さんが、ふとした時にブランドを思い出して頂けることが大事だと感じています。頭の片隅に“サントリー”が残ってくれれば。今後も、リアル体験イベントを企画していきたいと考えており、飲料以外のジャンルでもエッセンスとして組み入れていきたい」と思いを明かす。
サントリーの新たな取り組みが、さらに多くのファンを生みそうだ。