埼玉県で「核都市広域幹線道路」なる高規格道路を建設する動きが本格化してきました。もともと存在した首都圏の環状道路構想のひとつ。実は各地域にて、それぞれの名前で形になってきています。
首都圏の環状道路として、国の構想路線のひとつとして位置付けられている「核都市広域幹線道路」。その名称が、ようやく日の目を見ることになったと言えるかもしれません。 国土交通省 大宮国道事務所が2023年1月16日、「核都市広域幹線道路(埼玉新都心線~東北道」の地元検討会を開催、その結果を受けて数日後に核都市広域幹線道路(埼玉新都心線~東北道付近)の“ポータルサイト”を同事務所ウェブサイト内に立ち上げました。これにより、同事務所が進める他の事業中の路線とともに、この路線名が広く一般に広報されることになりました。
“第二の外環道” 構想ようやく日の目?「核都市広域幹線道路」…の画像はこちら >>首都高埼玉新都心線のさいたま見沼付近。東北道まで延伸する構想の実現へ向けた動きが活発化している(画像:PIXTA)。
核都市広域幹線道路とは、かんたんにいえば外環道と圏央道の中間に位置する環状の自動車専用道路です。1994(平成6)年に国が定めた地域高規格道路の候補路線にリストアップされました。地域の中核をなす都市として国に指定されている「業務核都市」どうしを結ぶという構想です。
いまだ具体なルートなどは決まっていませんが、横浜市を起点に業務核都市どうしをつないでいくと、東京都町田市、多摩市、立川市、埼玉県さいたま市、越谷市、千葉県柏市、千葉市など、おおむね国道16号沿いかその前後にあたる自治体が該当します。
なぜ横浜市からカウントしたかというと、核都市広域幹線道路の一部に当たる路線が、すでにできているとされているからです。それは首都高K7横浜北線と横浜北西線(生麦JCT~横浜港北JCT~横浜青葉IC)です。また、首都高S2埼玉新都心線(与野JCT~さいたま見沼)も合致するとされます。
大宮国道事務所が立ち上げた「核都市広域幹線道路(埼玉新都心線~東北道付近)」のウェブサイトは、この首都高埼玉新都心線を東北道まで延伸させる事業の実現へ向けたひとつの動きになります。この前身といえるのが「埼玉県東西軸道路検討会」。圏央道以南で埼玉県内の東西を結ぶ路線が不足し、広く渋滞が見られることから、解決に向け「埼玉新都心線~東北道付近」を優先区間として整備するという方針が定められました。
ただ、これを受けて「『核都市広域幹線道路』の名で地元検討会を開催したのは初めてでしょう」と大宮国道事務所は話します。
核都市広域幹線道路は、神奈川、東京、埼玉、千葉の各都県の道路整備計画にも構想路線として位置付けられてはいたものの、これまでの議会答弁などでは首都高K7やS2も「核都市広域幹線道路のルートにも合致する」といった表現が用いられてきました。
千葉県でも現在、野田市から柏市にかけて国道16号を中心とする地域の混雑緩和を目的とした「千葉北西連絡道路」の事業化に向けた動きが進んでいますが、こちらも「核都市広域幹線道路の機能を兼ね備えた高規格道路」という位置付けになっています。
加えて関係都府県の知事らもここ数年、核都市広域幹線道路の実現に向けた国への要望活動などを行っており、全体の構想が意識されることが多くなっていました。そうしたなか、大宮国道事務所が「核都市広域幹線道路(埼玉新都心線~東北道付近)」と銘打ったのは、ひとつの象徴といえるのではないでしょうか。
前出した「千葉北西連絡道路」は、国道16号のバイパスという位置づけになっているのに対し、「埼玉新都心線~東北道付近」については、16号のバイパスなのか、東北道の枝線なのか、その位置づけもこれから決めていくそうです。「事業化の目標年次などはありません。課題と整備の影響を地元からの意見を踏まえて整理していきたい」(大宮国道事務所)とのこと。
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東埼玉道路に並行して外環道と南北に交わる県道67号。このエリアは企業や商業施設が集積し、あちこち混雑が見られる(ドラレコ画像)。
以前の「埼玉県東西軸道路検討会」も、関越道から東埼玉道路(国道4号バイパス)エリアに至る埼玉南部の広域的な問題を取り扱っていました。大宮国道事務所は、「埼玉新都心線~東北道付近」のみならず、その前後区間の建設もいずれ考えていきたいといいます。