化学メーカーDICが佐倉市で所有・運営するDIC川村記念美術館について千葉県外への移転や運営中止を検討していることを受け、同市は5日、市内での存続を求める署名活動を始めたと発表した。今月末まで窓口・郵送・オンラインで募り、早急に提出する考え。
活動は、市観光協会や佐倉商工会議所、市内の国立歴史民俗博物館などの代表者とつくる「DIC川村記念美術館の佐倉市での存続を求める会」として行う。
発表文では同施設について「美術史上欠かすことのできない世界的に貴重な作品を数多く所蔵する国内屈指の美術館」「芸術・自然・建築が高いレベルで調和しそれ自体がひとつの『作品』」などと評した上で、「移転・閉館といった運営方法の見直しは、市・県のみならず、わが国の文化芸術の普及・発展にとっても大きな損失」と強調し、署名への協力を求めている。
同施設の運営方法について最終的な結論が年内に出され、来年1月下旬からは休館予定となっていることから、早急な署名提出が必要と判断して募集期間を今月末までと設定した。「存続を求める会」事務局の市文化課の担当者は「市人口の16万~17万人程度を集められれば」と話している。
署名方法の詳細や最新の署名数は市ホームページで確認できる。問い合わせは同課(電話)043(484)6191。
同施設は1990年に開館。現在はピカソやモネなどの20世紀美術を中心に754点を所蔵し、画家マーク・ロスコの作品群の展示室「ロスコ・ルーム」でも知られる。DICの保有作品384点の資産価値は6月末時点の簿価ベースで計112億円に上るという。