今シーズン最強の台風11号と厳暑の関係 残暑まだ続く 熱帯擾乱発生しやすい状況も

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フィリピン近海は、台風11号が進んだこともあり、対流が強まりました。日本に暑さをもたらす太平洋高気圧は、フィリピン近海で対流が強いと、勢力が強くなることが知られています。PJパターンと呼ばれる変動です。この先も、PJパターンが続き、日本付近で太平洋高気圧の勢力が強い見込みです。10月に入る頃にかけても、残暑は厳しいでしょう。大気の流れは、8月前半に台風が次々に発生した時の状況とよく似ており、10月に入る頃にかけて、大きく変わらない見込みです。台風など熱帯擾乱が発生しやすい状況が続きます。
台風11号 フィリピンで発生し西進 発達ピーク時は猛烈な勢力
台風11号は、9月1日にフィリピンの東で発生し、発達しながらフィリピンを通り、南シナ海に進みました。南シナ海で猛烈な勢力まで発達、発達ピーク時の中心気圧は915hPa、中心付近の最大風速は55m/sになりました。今シーズン最も強い勢力の台風です。台風11号は、発達のピークを過ぎた後も、非常に強い勢力で海南島からトンキン湾を西進し、今日7日午後3時、ベトナムを進んでいます。中心の気圧は935hPa、中心付近の最大風速は45m/sです。ベトナムの島であるバクロンビ島では、今日7日午前9時(日本時間)、35m/sの西風が吹き、12時間降水量は88.0ミリを観測しました。台風11号は、今後もベトナム本土を西進し、8日までに熱帯低気圧に変わる見込みです。
台風11号と日本の厳暑の関係 PJパターンとは?
日本に暑さをもたらす太平洋高気圧は、フィリピン近海で積乱雲の発生が多い(対流が強い)と、勢力が強くなることが知られています。PJパターンと呼ばれる変動です。フィリピン近海は、台風11号が進んだこともあり、対流が強まりました。それだけでなく、南シナ海からフィリピンの東、さらにマリアナ諸島近海にかけて、対流活動が活発な周期にあたっています。この海域では、9月の半ばを過ぎる頃にかけても、積乱雲の発生が多いでしょう。この先も、PJパターンが続き、日本付近で太平洋高気圧の勢力が強い見込みです。残暑がまだ続く原因の一つです。さらに、対流活動が活発な領域の上空では、その周辺にエネルギーが伝わっています。この影響もあり、チベット高気圧は日本付近への張り出しを強めています。この状況は9月の終わりにかけても続くでしょう。日本付近は背の高い高気圧に覆われやすいことになります。この先、季節の進みは遅く、九州から東北を中心に、最高気温は30℃以上の真夏日どころか、35℃くらいまで上がる日がまだある予想です。朝晩は秋の気配を感じられる日もありますが、10月に入る頃になっても日中はまだ残暑が厳しいでしょう。
台風シーズン 熱帯擾乱が発生しやすい状況続く

8月もそうでしたが、9月もチベット高気圧の勢力は、特に大陸華中や朝鮮半島付近で強く、偏西風は日本付近で平年より北を流れるでしょう。偏西風は、日本の東で流れが壊れやすく、南偏する見込みです。このため、日本の東の海上から南の海上で大規模な低気圧が形成されます。この大規模な低気圧は、南西モンスーンと太平洋高気圧の縁に沿って吹く東風が合流し、大きな低圧部による風の渦、いわゆるモンスーンジャイアです。モンスーンジャイアの中では、小さい規模の渦が発生して、台風など熱帯擾乱が発生しやすい傾向があります。大気の流れは、8月前半に台風が次々に発生した時の状況とよく似ており、10月に入る頃にかけて、大きく変わらないでしょう。台風シーズンが続きます。たとえ台風が発生しなくても、南の海上の熱帯擾乱により、日本付近に暖かく湿った空気が流れ込むことがあるでしょう。局地的な大雨になることも考えられます。日頃から、ハザードマップで避難経路の確認など、台風や大雨への備えをしておくとよいでしょう。