ダンプカーの荷台に、なにやら地名や番号の表記されたものを確認することができます。これらはなんのためにダンプカーに付けられているのでしょうか。
路上を行き来するダンプカーを見ると荷台の部分に、「足立 営 12345」といった形で、地名や数字が書かれていることがあります。この表記にはどういった意味があるのでしょうか。
どんな意味? ダンプカーの荷台に「足立 営 12345」など…の画像はこちら >>矢印部分の数字と文字がダンプカーのゼッケン(乗りものニュース編集部撮影)。
この荷台の表記は「ゼッケン」と呼ばれており、大型ダンプカー(最大積載量5t以上または車両総重量8t以上)のなかでも土や砂利、コンクリートがら、砕石などを公道で運ぶ車両に付けられています。これは「土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法」、通称「ダンプ規制法」で表記が義務付けられています。
「ゼッケン」は地名と〇で囲まれた一文字の事業種別を表す漢字と、最大5ケタ番号で構成されています。
地名は検査登録事務所の名称が2文字されるようになっています。例えば、東京都練馬区の自動車検査登録事務所ならば「練馬」と表記されますが、大阪のなにわ自動車検査登録事務所ならば「なに」になります。ほかに、「とちぎ」ナンバーが交付される佐野自動車検査登録事務所の場合は「佐野」、「尾張小牧」ナンバーが交付される愛知県の小牧自動車検査登録事務所では「小牧」といった2文字になっています。ナンバープレートの地名と意味合いは同じですが、表記方法が異なる形です。
地名と数字の間の事業種別の表記は、車両を使う会社の事業の略称になっています、〇に囲まれた「営」の場合は「一般貨物運搬業者」これが「石」に採石業、「砂」だと砂利採集業となり、計7種類存在します。
最後の最大5ケタの番号に関しては業の種類ごと届出順に指定される数字になっています。
なぜナンバープレートとは別に、ダンプカーの荷台にその車両の所属を示すゼッケンが表示されているかというと、とある事故がきっかけとなっています。
1966年12月15日、現在の愛知県豊田市の国道153号で、居眠り運転していたダンプカーが、一時停車していた小型トラックに追突し、その2台が園児約50人の列に突っ込み、園児10人、保育師1人が死亡する事故がありました。当地に慰霊碑も作られている「猿投ダンプ事故」と呼ばれるこの事故以外にも、当時ダンプカーによる事故が多発していました。
この惨状を受けて1967年には規制法が成立。ナンバープレートが現場作業などで汚れて確認が困難な場合でも、ゼッケンで使用者を判別しやすくし、無謀な運転を抑制するという目的がありました。
なお、半世紀以上経過した2024年現在においては、事業者の負担や、事故件数が減っていることを理由に、トラック協会などから関係当局へ規制緩和の要望も寄せられています。