締め切り2分前に滑り込み出馬 当選1回の吉田晴美衆院議員 立憲民主党代表選に挑戦

立憲民主党の代表選が7日告示され、既に立候補を表明していた野田佳彦元首相(67)、枝野幸男前代表(60)、泉健太代表(50)に加え、吉田晴美衆院議員(52)が滑り込みで出馬にこぎつけた。2021年の衆院選で初当選し、国会議員を1期務めただけの吉田氏は、従来の永田町の常識にとらわれない政治を行っていきたいと強調。新代表は23日の臨時党大会で選出される。
まさに「滑り込み」の言葉がピッタリの立候補となった。吉田氏の届け出書類の受け付けが完了したのは、午前11時に設定された締め切りのわずか2分前だった。
8月26日に代表選への名乗りを上げたものの、推薦人20人のハードルは高く、難航。同じく立候補を模索していた江田憲司元代表代行(68)との一本化にギリギリで成功した。江田氏と共に国会内で取材に応じた際には、目に涙を浮かべながら「正直もう駄目かと思う瞬間もあった」と感謝。江田氏は「ジェンダー平等を訴える党で、女性候補が一人もいない選択肢はあり得ない」と身を引いた理由を説明した。
その後、党本部で行われた共同会見では「ここに立つ30分前まで、立候補かどうか決まってませんでした」と心境を吐露した。「当選1回の吉田が何を言っているんだと言われるかもしれませんが、政治の慣習にとらわれない等身大の政治を行いたい」と主張。「自民党や、永田町の常識では1期生の挑戦などあり得ない。常識を変えたい」と、同時期に党総裁選が行われる自民党を引き合いに、現状打破のパワーとフレッシュさをアピールした。
吉田氏は山形県出身。幼少期から実家の青果店を手伝い、ホームページでも「やおやの娘」との記述があるほど実家に誇りを持ち、尊敬する人にも父を挙げている。航空会社の客室乗務員(CA)、投資・証券会社社員、民主党政権時の小川敏夫法相の秘書官を経て、2013年参院選岩手選挙区で国政選挙に初出馬(落選)した。
名を知られたのが3度目の挑戦で初当選した21年の衆院選。野党統一候補として東京8区で立候補し、それまで選挙区で敗れたことのなかった自民党の石原伸晃元幹事長(67)を破る大金星どころか、比例復活も許さない完勝を果たした。唯一の女性候補として、そして前代未聞の当選1回議員として、どこまで存在感を見せられるか。政権交代への布石となる、17日間の論戦の火ぶたが切られた。