昭和32年に駅と地上の隙間に…趣ある“手狭感”の老舗地下街『メイチカ』営業休止を前に再確認したい魅力

名古屋駅の地下街「メイチカ」が、駅前広場の再整備に伴い、3月31日で営業を休止します。多くの人に親しまれてきたメイチカの魅力を、最後にもう1度取材しました。 名古屋駅東口の地下街「メイチカ」には、飲食店やドラッグストアなど20の店舗が軒を連ねています。
メイチカを運営する、名古屋交通開発機構の若林伸忠さんに、一緒に回ってもらいました。若林さん:「歴史があるような感じで、お店屋さん同士の一体感がある地下街になっていると思います」名古屋駅にある地下街の多くは、通路の幅が広く開放感があります。
しかし、メイチカは通路幅が狭く天井も近い印象ですが、この「手狭感」がかえって店舗同士の一体感を醸し出していて、メイチカの良さだと若林さんはいいます。
一体感のある趣には、歴史的な背景があります。昭和32年(1957年)11月、名古屋駅の地下街は、地下鉄東山線の開通に合わせて開業しました。
当時の名古屋駅は、市電やバスを待つ人が道路にあふれ、交通事故が多発していました。そのため「車は地上、人は地下」という考えで、地下街の建設を進めたといいます。
その中でメイチカは、駅と地上の隙間につくられました。限られたスペースに店を凝縮させた結果、今の形となり、「手狭感」はメイチカ開業の名残です。
若林さん:「歴史に一区切りがつきますけれども、また新しい地下街の再開に向けて、名古屋市の活性化にも寄与する地下街を目指していきたいと思っています」 開業時に出店したのは24店舗ありましたが、レストランの「銀座ライオン」は、当時から営業を続けています。

名古屋駅ということで、列車をイメージした内装は開業時のままです。
天井にはレトロな扇風機が3台ついていて、壁には荷物を載せる網棚もあります。
女性客:「素敵ですね、懐かしくて」別の女性客:「落ち着く雰囲気かなと思います」懐かしい雰囲気を体感できるのもメイチカの魅力です。この店で最も古くからあるフードメニューが「桜海老の山芋ステーキ」。
丁寧にすりおろした山芋に、桜エビをふんだんに混ぜ、香ばしく焼きあげてあります。開業時にあったかどうかははっきりしないものの、30年以上前から出されているといいます。銀座ライオン地下鉄名駅店の担当者:「来てくださる常連のお客さまにすごく愛されている商品なので、(店が)なくなるのを前にすると、とても寂しく思いますね」 和菓子の「両口屋是清」も開業時から営業を続けてきました。
店長が、歴史を感じるエピソードを教えてくれました。両口屋是清駅地下店の店長:「先日、『娘の結婚式の引き菓子を用意したい』とご注文いただいたんですけれども、実は私も、私のおばちゃんも、2世代・3世代とずっとここで結婚式のお菓子を用意しているというありがたいお話をいただきまして、歴史をこのお店で感じることができました」開業時から販売されているのが、和菓子の詰め合わせです。昭和天皇に献上した焼き菓子など3種類が入っています。
両口屋是清駅地下店の店長:「駅での手土産にご利用いただいております。このお菓子が変わらないというところで、安心感を持っていただけているのではないかと思います」変わらない安心感、それもメイチカの魅力のようです。両口屋是清駅地下店の店長:「3年後に改めて新しく地下街が綺麗になって生まれ変わるということで、ぜひその時一緒にまたお仕事させていただけたらなと」