3月24日、名古屋市中区のマンションから2歳の双子の男の子が転落して死亡しました。なぜ転落したのか、当時の状況が明らかになってきました。 転落事故から3日、2人の男の子が転落したとみられるマンションの部屋の窓やカーテンは閉まっていて、中の状況はわかりません。転落した場所には花やお菓子が供えられていました。
24日午後4時前、名古屋の繁華街を通りかかった男性から、耳を疑うような110番通報がありました。<110番通報>「子供が倒れている!もう1人、子供が落ちてきた」目撃者の女性:「ほぼ同時ですね、ちょっとずれた感じの。バーンバーンと音がして」
現場は名古屋市中区新栄1丁目の駐車場。隣のマンションに住む双子の間部登也ちゃん(2)と雄也ちゃん(2)が血を流して倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認されました。 2人はマンションの7階、自宅のリビングの窓から転落したとみられています。なぜ幼い双子の命が失われてしまったのか、現場と同じ間取りの別の住人の部屋を訪ねました。 転落した窓は床からの高さがおよそ80センチで、1メートル10センチほどの高さに「手すり」が取り付けられています。
2歳の子供が自ら転落する危険性は低いように見えましたが、現場には様々なリスクがあったことが警察への取材で明らかになりました。 窓は左右2枚のスライド式で、どちらも開くようになっています。男の子の両親は、右側の窓にはストッパーを付けて開かないようにしていたそうですが、左側の窓は開く状態だったということです。
右側にはストッパーがあったものの、左側は開く状態だった窓。当時在宅していた母親は警察に対して、次のように説明したといいます。<母親>「数分間、目を離した隙にいなくなっていました。窓の鍵もかけた記憶です」 鍵をかけたという窓から、2人はどのようにして転落したのでしょうか。
2人の男の子の家には、右の窓の下の辺りに棚が置いてあったということです。2人はその棚をよじ登って、窓枠を伝っていったとみられています。 現場の部屋には、右の窓の下に窓枠とほぼ同じ高さの棚が置かれていました。2人は棚の溝に足をかけてよじ登った後、窓枠を伝ってストッパーのない左側の窓に移動。さらに窓の鍵を自分たちで開け、転落してしまったとみられています。
子供の転落事故に詳しい専門家は、暖かくなるこれからの時期は特に注意が必要だと話します。SafeKidsJapanの大野美喜子理事:「これから3月、4月、5月、窓を開ける機会が増えてくる春の時季と、だんだん涼しくなってくる秋の時季には転落事故が多くなる傾向があると思います」 東京消防庁がまとめたデータでも、子供の転落事故が、5月や10月などの寒さや暑さが落ち着いてきた時期に増えているのがわかります。
1人だけでなく、双子が相次いで転落したことについても聞きました。大野美喜子理事:「(研究)チームに小児科の先生がいらっしゃって。双子という情報が入った瞬間に『シンクロ、同じことするからね』と言われていたので、その可能性はあるんじゃないかと思いますね」 子供の転落を防ぐためには、どうすればいいのでしょうか。大野美喜子理事:「既存の鍵だけじゃなくて、子供の手が届かないところに鍵を付けるというのが大事」 補助錠を子供の手が届かないような窓の上の方に付けることや、窓と家具との距離を60センチ以上離すことなどで、手が届かなくなり、転落するリスクは格段に下がるということです。