知らないと怖い相続 第1回 「配偶者に2分の1」は”目安”でしかない、遺産の配分で起こりがちなトラブルとは

お金の話の中でも、特に切り出しにくいのが「相続」問題。しかし、相続問題を放置したままでいると、いざという時、家庭内のトラブルにつながることもあります。また、「うちは資産家でもないし、相続は関係ない」と考える人も多いですが、相続は意外と多くの家庭に関わる問題です。

そこでこの連載では、『ぶっちゃけ相続』(ダイヤモンド社)の著者で税理士の橘慶太氏に、家族と一緒に相続の知識を身に付ける方法や相続のトラブル事例、最新の相続ルール変更について詳しくお話を伺います。第1回は、相続の知識がないと起こりうるトラブルについて。

○相続の基本ルールは学校の授業で教えたほうがいいくらい重要!

━━「相続問題」というと、日常生活ではどうしても縁遠く感じてしまう人が多いと思います。現状で差し迫った問題がないとしても、なぜ知識を身に付けたり、家族で話し合ったりしておく必要があるのでしょうか。

人によって、差し迫っている人と差し迫っていない人に分かれるとは思いますが、ある日突然相続の問題を抱える方も、中にはいらっしゃいます。

たとえば、 若くして事故で亡くなってしまった、ご両親に病気が見つかったというのは誰にでもあり得ることですので、どのような方も知識を身に付けておいた方がいいと思います。

ご家族で話し合いまでできれば理想的ですが、実は、相続のトラブルの多くが「相続に関する知識がないこと」が原因で起きています。「正しい知識さえあれば防げるトラブル」というのがたくさんあるんです。

ですので、相続の基本ルールは、学校の授業で教えて欲しいくらい「国民全員が知っておくべきものなのではないか」と思っています。

○知識がないとトラブルにつながってしまうことも

━━相続の知識がないために、いざ相続問題が発生した時の初動対応を間違えてしまい、トラブルにつながってしまうということでしょうか。

そうですね、相続については本当に誤解が多いんです。たとえば、亡くなった人の遺産の分け方にはルールがありますが、これは、「遺言書がある場合」と「遺言書がない場合」でルールが異なります。

遺言書があれば、遺言書の通りに分けるのが原則で、遺言書がない場合は、相続人皆さんの話し合いで分け方を決めるのが原則です。この話し合いの時には、配偶者が2分の1、子どもたちがさらに2分の1を均等に割っていくという割合がありますが、この割合は「法定相続分」といい、遺産の分け方の目安として定めているものなんです。

しかし、この割合というのはあくまで目安なので、相続人全員が同意をすれば、どんな分け方にしても自由なんですね。

たとえば、お母さんが全部相続することを皆さんが納得すればそういう形になりますし、反対に、お母さんには潤沢な財産があるから、全部子どもたちが相続するという形になることもあります。

ですが、決められた割合の通りにしないとダメなのではという思い込みが先行してしまい、「お母さんに多めに分けたらいいじゃない」という子どもと、「法定相続分として法律で決まっているんだから、その割合にしないと法律違反なんじゃないか」という子どもでケンカになってしまうケースもあります。

なので、間違った理解のまま話し合いを進めることにならないよう、まずは相続についての正しい知識を身に付けていただき、そのうえでご家族でお話をしていただくのが一番いいかなと思いますね。


『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】 相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!』(橘慶太 著/ダイヤモンド社 刊)

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○橘慶太
税理士。円満相続税理士法人代表。大学在学中に税理士試験に4科目合格。2017年1月に独立開業。現在、東京・大阪・名古屋の3拠点で相続専門税理士が多数在籍する円満相続税理士法人の代表を務める。自身が運営する【円満相続ちゃんねる】のチャンネル登録者は10.7 万人を超える。