世界的に有名な浮世絵師・葛飾北斎と門人たちによる平安時代や王朝文学を題材とした作品を集めた企画展が18日から、東京・墨田区の専門ミュージアム『すみだ北斎美術館』で始まった。江戸時代に息づく“平安のみやび”ーが北斎の世界観で観覧できる絶好の機会として注目されそうだ。
企画展は『北斎が紡ぐ平安のみやび江戸に息づく王朝文学』。江戸時代には、平安時代の研究や古典の教育、出版の隆盛、書物流通などの背景から宮廷の風俗や文学の絵画化が盛んになり、北斎や門人たちも絵画化。紫式部など平安時代に活躍した人物や都の暮らしをイメージし、『源氏物語』『伊勢物語』のような王朝文学を描いた作品を多数残した。
物語の場面や歌意を絵画化するのにとどまらず、着物や調度に王朝文学ゆかりの意匠を取り入れた作品も。北斎たちによる平安時代や王朝文学に関する作品を展観することで、北斎らが抱いた平安時代のイメージ、王朝文学の世界観とその広がり、江戸時代に息づく“平安のみやび”を楽しむことができる。
17日に行われた開会式では澁谷哲一館長が「今年は新しいお札が20年ぶりに発行され、千円札の裏に葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』が採用されて、まさに浪裏が札裏になった。北斎人気も一層高まって、前企画展では5万人近い方にご来館いただいた」とあいさつ。今回の企画展を含め、今後のさらなる“北斎ブーム”の盛り上がりに期待感を示した。
企画展は11月24日まで。開館時間は9時30分から17時30分。月曜休館。今回の企画展の関連イベントとして、9月28日には体験用の十二単装束を使用した着装実演などを開催。会期中には、みやびの世界に入り込めるARフォトスポットを会場に設置。QRコードをスマートフォンで読み取ってフォトスポットにかざすと「貴人と官女図」の女性たちが登場し、お姫様の顔に自分の顔を合わせて記念撮影できるなど、様々なイベントや仕掛けが用意されている。
また、10月25日から全国公開される役所広司主演の映画「八犬伝」とのタイアップ企画として、10月8日から11月24日まで、館内に葛飾北斎演じる内野聖陽らの着用した衣装が展示される。