【千葉魂】投げる幸せ知る男 帰ってきた小野 千葉ロッテ(第443回)

背番号「37」が帰ってきた。小野郁投手が9月18日のイーグルス戦(楽天モバイルパーク)で今季初登板を果たした。昨年5月4日、同球場で投げて以来の1軍舞台。「めちゃくちゃ緊張しました」。2番手として1回を投げてベンチに戻ってきた小野はそのように話をした。失点こそしたものの自慢のストレートはうなりを上げていた。マリーンズの誇る剛速球右腕が帰ってきたことをスタンドのファンにみせつけた。
2度目の登板は9月21日のライオンズ戦。久々の本拠地ZOZOマリンスタジアムのマウンドだった。九回のマウンド。名前がコールされると大きな拍手で迎えられた。1回を投げて打者3人で打ち取ると、うれしそうな笑顔が弾けた。
「声援が力になって気持ちよく投げることができた。1戦目よりは冷静に投げることができました。久々のZOZOマリンスタジアムのマウンド。本当に幸せでした」。小野は試合後、しみじみと語った。
昨年5月に仙台での登板時に「肘が飛んだような感覚がした。もう無理だと思った」。その後、1軍登録を抹消され右肘を手術。「思ったよりも時間がかかった」と本人が振り返るように一進一退のリハビリの日々を送った。4月に2軍で実戦復帰をするも「よくなったと思ったら次の日に状態が悪くなったり。なかなかよくならなかった」。光明が差したのは7月。投げる際に久々の感覚があった。自慢のストレートやスライダーがイメージに近い状態で投げることができるようになった。2軍で27試合に登板をして1軍合流が決まった。
2022年には自身初のオールスター出場を果たし、1イニングを打者3人、3奪三振を奪うなどの活躍を見せ、シーズンは44試合に登板をして18ホールド、防御率1・99を記録した右腕。頼もしい男がマリーンズブルペン陣に加わった。
「リハビリ期間、本当にたくさんの人に支えてもらった。相談をしたり、治療方法をいろいろと考えてくれたり、いろいろとわがままを言ってしまったこともあったけど、そういうのを受け止めていただいた。ここまで投げることができるようになったのは、その人たちのおかげだと思っている。今は本当に感謝の気持ち。そして投げることができる幸せを感じている」と小野。
シーズンは残り6試合。いよいよ緊迫の最終盤を迎えている。苦しみを乗り越えて戻ってきた男の存在は大きい。投げることができる幸せを知る男がマリーンズを勝利へといざなう。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)