森永乳業は10月6日までの期間、人類 対 AIによる「クラフトバジルフレッシュモッツァレラ」を使ったアレンジレシピ対決の第2弾「月島 VS AI バジルモッツァレラもんじゃ対決」を開催。
AI考案のオリジナルもんじゃ「牛すじ月見AIもんじゃ」と各代表店舗が考案したオリジナルもんじゃのハーフ&ハーフセットを月島もんじゃ街の11店舗で販売し、一般投票で勝者を決定する。
9月26日には月島社会教育会館で「月島もんじゃ大将 VS AIバジルモッツァレラもんじゃ対決記者発表会」が実施された。
○■月島もんじゃ連合のプライドをかけた戦い
森永乳業「クラフト フレッシュモッツァレラ」は特許製法による売上No.1のモッツァレラチーズ。1999年に発売を開始し、今年でブランド25周年を迎えた。バジルの爽やかな香りと味を楽しめる味付きタイプ「バジルモッツァレラ」を昨年秋に発売。そのPR戦略でも新たな取り組みで反響を得ている。
今年3月には人類 VS AI料理対決の第1弾として、有名シェフとの料理対決(30分3品のレシピ対決)を開催。イタリアンをテーマにクラフトバジルモッツァレラのアレンジレシピ3品で対決した結果、“人類代表”である東京の人気店シェフに見事AIが勝利して、注目を集めた。
第2弾企画「月島もんじゃ大将 VS AIバジルモッツァレラもんじゃ対決」では、「月島もんじゃ」連合と、前回勝利したAIチームが対決する。
本対決は9月28日から10月6日までの期間、月島もんじゃ新興会に加盟する11店舗で、各店舗とAIそれぞれが考案したクラフトバジルフレッシュモッツァレラのアレンジもんじゃを提供。食べ比べした一般客に投票してもらい、店舗ごとの勝敗を足し合わせて最終的な勝者を決めるという、一般参加型のイベントとなる。
本発表会には、島もんじゃ振興会協同組合理事・松井勝美氏と今回の対決に参戦する島もんじゃ連合の各店舗代表者、AI代表の茨城学学院理学研究科の鈴智也教授と研究室の学が出席。
鈴木教授はさっそく、「今回は新しく技術を追加し、よりパワーアップしたAIで挑ませていただきました。もしうまくいけば事例紹介として学会発表したいなと思っていまして、そういう意味では負けられないですし、負けなくないと思っています」と、対決への意気込みを語った。
対する松井理事長は、「我々プロの集団ですから絶対負けません。こんな機械かなんかわかんないけど負けてられないですよ。味と暖簾でやっていますから。そのような形で鈴木先生と一緒に頑張ってやっていきたいと思いますんで、よろしくお願いします」と述べ、会冒頭から激しい応酬を繰り広げて盛り上げた。
○■理事長からの圧倒的プレッシャーも……?
本発表会では主催者を代表して森永乳業チーズ事業マーケティング部部長・佐藤裕之氏の立会いのもと宣誓式を実施。
宣誓書へのサイン後、鈴木教授は「今回チーズはもちろんですが、牛すじも使っていて、良いもんじゃができたと思っています。後は結果を見守るしかないなと。ただ、先ほど理事長と話していたら『牛すじは分が悪いからうちが勝ったも同然だ』と言われ、ちょっとショックを受けているんですけれども(笑)」と、自信と不安が入り混じる心境を明かした。
「サインの経験は銀行の保証人くらい」という松井理事長は、「もんじゃは明太チーズが定番人気で牛すじはちょっと弱いのかなと。『あ、勝ったな』と思っています。何しろこの(代表店舗の)7人を見てください。皆さんプロとしてお金いただいているんです。それで負けたらしょうがないじゃないですか」と、あくまでも強気。
また、「プレッシャーはかけてないです。私は安心していますんで、牛すじで良かったなと思っています。ありがとうございます」と、会場の笑いを誘いつつ最初にオファーがきた際の本企画の印象を振り返った。
「チーズ系もんじゃは非常に人気ですし、モッツァレラというと私はバジルのスパゲティとかも好きなんで、おもしろそうだなと。とても楽しみにしています。振興会として新しい素材を使ったもんじゃを開発していくために、とてもありがたいお話だと思って今回お受けいたしました」
一方、鈴木教授はAIチームらしい捻りを加えたレシピの意外性に期待してほしいと語る。
「そもそも申し訳ない気持ちが第1弾の対決からありまして……。私自身は料理ド下手で全く料理ができないんです。今回、AIからタバスコを最後に使うという案があって採用したんですが、そんなド素人でもAIを使って意外なレシピを作れればという思いで挑みました」
○■最新のデータサイエンスを組み合わせたAI技術を活用
複雑データサイエンス研究室で「実務データ×機械学習×知能」によるビジネス援技術を開発しているという鈴氏。本対決で利用しているAI技術についても説明した。
「ChatGPTベースのAIで、ChatGPTは飛躍的な進化が進んでいるんですが、前回と同じようなかたちで『独創的なレシピ』を単に訊いても、突飛なもんじゃの提案ばかり出ていたんです。チョコレートを混ぜるとか、リンゴを混ぜるとか。一応、試食しましたが全然おいしくありませんでした」
そこで前回の料理対決からアプローチを変え、約100種類のもんじゃの具材を候補に挙げ、その最適な組み合わせを探る「組み合わせ最適化」問題として今回の挑戦を捉え直したという。
「ちょうど我々は別の研究でAIによるアロマの調香システムを開発していて、今回はそのシステムを使っています。組み合わせ最適化のアルゴリズムを使い、2の100乗通りの組み合わせの中から、ベストなもんじゃの具材の組み合わせをコンピューターに見つけてもらいました。ただ、それだけだと“お行儀の良い答え”しか出てこないので、そこからさらにChatGPTとやり取りして意外性のあるレシピに仕上げていったというかたちです」
こうした話を受けて、松井理事長も「我々も日々勉強だと思っているので、いろいろと学びたいなと思っています。調子が良いから、良いところは全部吸収して、どんどん取り入れますんで」と述べ、プロとして最新のテクノロジーからも貪欲に学ぶ姿勢も見せた。
森永乳業の佐藤氏は、「両者からお話があったように単に勝敗だけではなく、今回の対決を通して、いろんな可能性に注目してもらいたいというのが本企画の趣旨でもあります。日本の食文化を代表する『月島もんじゃ』とAIの新たな可能性、そして『クラフトバジルモッツァレラ』の可能性にも注目していただけると幸いです。期間中、ぜひ月島もんじゃ街に足をお運びいただき楽しんでいただけたら」と、メッセージを送っていた。
伊藤綾 いとうりょう 1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催 @tsuitachiii この著者の記事一覧はこちら