ヤマハはバイクデビューに最適? 125ccが一気に充実、リアルイベントも多数

ヤマハ発動機が小排気量スポーツモデルのラインアップを拡充する。125ccのバイクを一気に増やす方針だというから、バイクデビューを果たすならヤマハのマシンから気に入ったモデルを選ぶのもアリだ。リアルイベントも豊富なので、充実のモーターサイクルライフを送れるかも?

○ヤマハが打ち出したメッセージとは?

「第50回東京モーターサイクルショー」で「#ヤマハではじめるバイクライフ」「#あつまれヤマハ乗り」というメッセージを掲げたヤマハ発動機。初心者でもデビューしやすい125ccのスポーツモデル3車種を一挙に紹介したほか、バイクレッスンやファンイベントなど、リアルイベントを拡充していく方針を打ち出した。

ショー初日のプレスカンファレンスでヤマハ発動機販売代表取締役社長の松岡大司氏は、バイクファンとのつながりを大事にしていきたいとの考えを示した。特に、ここへきてモーターサイクルに興味を持つ若年層が増加していることから、彼らの関心にこたえていくことが大切と話していた。

若者のバイクデビューを後押しするうえで欠かせないのが小排気量モデルのラインアップ拡充だ。ヤマハは今回のモーターサイクルショーで小排気量モデルを一挙に4車種も披露し、2023年中に発売すると宣言。「#ヤマハではじめるバイクライフ」に見合った取り組みだ。

ヤマハのモーターサイクルは現在、「ハンドリングのヤマハ」を象徴するスーパースポーツの「YZF-R」、「トルク&アジャイル」 がコンセプトで俊敏な走りと独創的なスタイルを特徴とする「MT」、スポーツヘリテージの「XSR」の3つのシリーズを主力としている。

今回のモーターサイクルショーでは「YZF-R125」「MT-125」「XSR125」を発表。上記3シリーズ全てに125ccを用意した。「R」については155ccの「YZF-R15」もそろえた。

現在、ヤマハが日本で販売する125~155ccはスクーターのみだ。ほかの国内3メーカーはスポーツモデルを用意しているので、そこに追いつく意味もあったのだろうが、一挙に4車種も登場するとなると、いきなりトップレベルの品ぞろえを誇ることになる。

時の流れを感じられるブースのデザイン
大型モーターサイクルでは、スポーツヘリテージシリーズのフラッグシップとなる「XSR900」に用意された外装キット装着車が目を引いた。

ビキニカウルやシートカウルなどからなるこのキット、「RZ250R」や「TZR250」など往年のスポーツモデルを彷彿とさせるデザインとカラーで、当時を知るベテランライダーだけでなく、幅広いユーザーに刺さるのではないかと思われた。

松岡氏はブースのデザインにも触れた。一方通行とすることで混雑を緩和するとともに、入口に外装キットを装着したスポーツヘリテージの「XSR900」を置き、センターに125/155ccのニューモデル、出口の近くには2023年の「全日本トライアル選手権」に全戦参戦する「TY-E2.1」などの電動モデルを置くことで時系列を感じさせるという、かなり凝ったレイアウトだった。

通路の左側には「ヤマハレースブルー」で彩られたレーシングマシンやウエアの展示、さらにはヤマハ純正オイル「ヤマルーブ」(YAMALUBE)の紹介もあった。

バイク初心者やヤマハファンとのつながりを強化するうえでは、リアルイベントも重要なタッチポイントになる。

2022年はヤマハのリアルイベント「YAMAHA Motorcycle Day」が3年ぶりに復活した年だった。この年に新たに始めた「YAMAHA Rider’s Cafe」というイベントもある。

リアルでバイクやライダーと接する場は「何ものにも代えがたい」と松岡氏。2023年はイベントを倍に増やすという。具体的にはYAMAHA Rider’s Cafeを18か所で開催するそうだ。秋のYAMAHA Motorcycle Dayは、滋賀県米原市の奥伊吹で開催予定であることを発表した。

デジタルでもつながりたいというユーザーも増えていることから、ヤマハではカスタマー向けポータルサイト「My YAMAHA Motor Web」の機能拡充を進めているとのこと。例えば2022年12月に始めた「ロイヤルティプログラム」では、対象となるイベント会場での会員証提示、給油やメンテナンスの記録、アンケート回答などで獲得したスタンプの数によってステータスが決まり、そのステータスに応じて会員限定グッズの販売、イベントでの記念品贈呈などを用意するという。

販売店については、現在74カ所ある「YAMAHA MOTORCYCLE SPORTS PLAZA」(YSP)を100店舗に増やしていくと表明した。これらの拠点では販売だけでなくレンタルにも対応する。

またライディングレッスンでは、以前から開催している「ヤマハライディングアカデミー」と「YSPライディングサポート」を継続し、楽しいバイクライフと交通安全に貢献していきたいとした。

森口将之 1962年東京都出身。早稲田大学教育学部を卒業後、出版社編集部を経て、1993年にフリーランス・ジャーナリストとして独立。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員を務める。著書に『これから始まる自動運転 社会はどうなる!?』『MaaS入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』など。 この著者の記事一覧はこちら