“液状化被害”の新潟市江南区で地質調査「一刻も早く対策を」 専門家は“行政の動きの鈍さ”指摘

能登半島地震で液状化被害を受けた新潟市江南区天野地区で新潟大学による地質調査が始まりました。今後、街区ごとに液状化対策を施す上で重要な資料となる調査を地元の住民も見守りました。

11月5日朝、新潟市江南区天野3丁目で行われたボーリング調査。

新潟大学復興科学研究所は今後、近辺の9箇所でボーリング調査と地盤強度を把握するサウンディング調査を並行して行います。

新潟大学が江南区の地質を調査するのは初めてで、5日は地下5mまでの土を掘り出しました。

【新潟大学災害・復興科学研究所 卜部厚志 教授】
「この辺が液状化して、この辺の砂が持ちこたえていて、ここが液状化する…というまだら状態」

卜部教授は、一定の幅で液状化が確認された西区の被災地とは違い、江南区天野では地下1m~3.5mの間でまだらに液状化している可能性を指摘しました。

この日は地元住民も調査の進捗を見守りました。

【天野中前川原自治会 増田進 会長】
「こうやって調査してもらって、大体この辺がこうなんだというのが分かっただけでも少し気が楽になった。やっぱり、ぜひ一刻も早く液状化対策をしてもらいたい」

住民は新潟市が国の施策を活用して行う街区ごとの宅地液状化対策に期待を寄せますが、卜部教授は新潟市の取り組みの遅れを指摘します。

【新潟大学災害・復興科学研究所 卜部厚志 教授】
「どういう事業の展開になるのか、何を決めていくのかというのが、他の県(富山)よりも新潟市は半年遅れぐらいで動いている。その遅れを取り戻すべく、今から頑張って大学もやっていかないと」

一方で、この日は将来、この土地を担っていく子どもたちがボーリング調査を見学しました。

能登半島地震以降、児童の通う曽野木小学校でもグラウンドの水はけが悪くなったといいます。

【児童】
「頑張って、グラウンドの乾きをよくしてほしい」

新潟大学は11月中に新潟市や地元住民に調査結果を提示する方針です。