ギリ賞味期限のチョコを“大人買い”したほうが賢い? 流通業界「3分の1ルール」について解説

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「あっ、このアーモンドチョコいいな。10箱買って帰ろう」
わたしは安売りで知られる『おかしのまちおか』に行くのが楽しみで、そこでお菓子を大人買いをするのが習慣です。
それでわたしが大人買いをする商品ですが、大概の場合は『おかしのまちおか』店頭の特売コーナーに置いてある45%オフみたいに大幅な値下げをしている商品です。たまたま今日、購入したのは通常は230円程度するロッテのアーモンドチョコ特別バージョンで、1箱139円とかなりお安い価格でした。
さて、この商品がお得だった理由は実は賞味期限が近いから。あと2か月で賞味期限が来るという理由で大幅に安い価格で売っていたのですが、実はここに経済評論家が知っている価格の秘密があるのです。今日はそのお話をしましょう。
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そもそもみなさん、賞味期限と消費期限の違いをご存知ですか? 一番のポイントは消費期限を過ぎたら食べないほうがいいですけれど、賞味期限を過ぎた商品はまだまだ食べられるんです。
消費期限は主に生鮮食品やパック入り牛乳、生菓子など保存がきかない食品につけられていて、要するにその日までに食べてくださいという期限です。
一方で賞味期限は加工食品など比較的長期間保存できる食品につけられている期限で、意味するところは「その期限までであればおいしく食べられますよ」という意味です。その期限を過ぎたあたりから風味が落ちたりするのでそれ以上保管するのはメーカーとしては推奨しないという意味です。

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昔と違って工場での殺菌技術、保存料の性能やパッケージの密閉度などいろいろな面で加工食品の保存技術は向上しているので、これはあくまで個人の感覚ではありますが賞味期限が過ぎてもそれほど気にすることはないと思っています。
ちなみにカップ麺の賞味期限は製造日から6か月という商品が多いのですが、わたしはチャレンジャー気質があるせいか7か月目ぐらいならいつもチャレンジしています。このあたりはあくまで自己責任で。
さて、冒頭の話に戻りましょう。あと2か月で賞味期限を迎えるチョコが激安で売られる理由は何なのでしょうか? 実は食品の流通の世界にある「3分の1ルール」というものが影響しています。
3分の1ルールとはあくまで日本の商慣習なのですが、製造日から賞味期限までの期間を3つに分割して、最初の3分の1までの期間にメーカーや卸は小売店の店頭に商品を届けなければいけないというルールがひとつ。そして次のルールが、小売店の店頭の商品は真ん中の3分の1の期間(つまり製造から3分の2)が過ぎたら商品を店頭から撤去しなければならないといったものです。
それで冒頭でわたしが見つけたアーモンドチョコは製造から9カ月を賞味期限と設定した商品で、おそらくまちおかの店頭に並ぶ少し前に6か月目を迎えて一般のスーパーの店頭から撤去されたのでしょう。

店頭から撤去した食品は以前でしたら「そのまま廃棄」にまわるケースも多かったそうですが、最近ではフードロスの問題があって業界としてもなんとか売ろうと努力します。
今回のような場合の経路としては卸問屋に返品された賞味期限間近の商品を、ディスカウントストアが大量に購入して短期間に売りさばこうとするわけです。これが冒頭、わたしが賞味期限が近いお菓子を大人買いした理由です。話をまとめると、
(1)賞味期限切れ間近のお菓子は投げ売りされる
(2)でも多少賞味期限が過ぎたって食べられるので心配はいらない
(3)それとわたしはアーモンドチョコが大好きなので10箱くらい余裕で食べられる
ということで、今回もお得に賞味期限が近づいたチョコを大量にゲットしたということなのでした。

Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。
今週は、「賞味期限に関わる業界ルールとお得な買い物術」についての解説でした。