JAF(一般社団法人日本自動車連盟)は4月6日、飲酒が人体や運転にどのような影響を与えるのか、翌朝は酒気残りによる影響はないのかについて検証し、その結果をウェブサイトに公開した。
2021年6月に千葉県八街市の路上で、小さな子どもたちが飲酒運転のトラックにはねられる事故も起きるなど、飲酒を原因とした悲惨な事故は後を絶たない。
2022年の道路交通法の改正では、事業者の安全運転管理者に対してアルコールチェックが義務付けされたが、飲酒してから数時間後には、アルコールが体内から抜けると思っているドライバーは少なくない。そこで今回、飲酒が運転に与える影響や翌朝の酒気残りによる影響について、運転シミュレーターを使用し検証した。
まず、飲酒前と直後、翌朝(飲酒開始から10時間後)の運転操作を運転シミュレーターで確認し、飲酒による影響を検証。また、アルコール検知器で呼気アルコール濃度を測定し、歩行時のふらつきについても確認した。
結果:飲酒直後は飲酒前と比べ、以下のような傾向が見られた。
・ハンドル操作が雑になり、壁にぶつかったり、まっすぐ走れなかったりした
・アクセル操作がスムーズにいかなくなり、急加速したり、またブレーキ操作が雑になった
・確認や判断ミスが多くなり、事故を引き起こす人もいた
飲酒直後だけでなく翌朝も、飲酒前と比べ操作ミスや確認・判断ミスが増加。「呼気濃度は出なかったが、体にだるさが残っている。運転もいつもよりパフォーマンスが落ちている感じがあった」という意見があった。
さらに、飲酒による視覚機能の影響を調べるためにアイトラッキング(眼球の場所と向きからどこを見ているのかを表示できる装置)を使用し、飲酒前と直後、翌朝の状況を運転シミュレーターで検証。歩行者や自転車、対向車などの見落としがないか、首を振って注視をしているか、危険な運転操作や対応できていなかったかを調査した。
結果:飲酒前は首を振って目視確認していたモニターも、飲酒直後、翌朝ともに左右やミラーの確認が疎かになり、前方の狭い範囲の確認となったため、死角から飛び出してきた子どもや自転車とぶつかりそうになったり、事故に発展したりした。
今回の調査で明らかとなったように、飲酒は車を運転するために必要な視野を狭めたり、判断能力にも影響を及ぼし、飲酒した翌日にまで続く可能性がある。「お酒に強いから大丈夫」「短い距離なら事故なんてしない」ではなく、お酒を飲んだら絶対に運転せず、公共交通機関や運転代行を利用するべきだ。
また、飲酒した翌日にアルコールが検出されなくても、体調が優れない場合は運転を控えよう。周りの人たちがこれから運転する人に飲酒を勧めない・飲酒した人に運転させないことも重要となる。
今回の結果を受けてJAFでは、「これからもドライバーの目線に沿った実験をし、交通安全の啓発に努めてまいります」とコメントしている。