統一地方選前半戦は10日未明、41道府県議選の全2260議席が確定した。自民党は1153議席を獲得したが、前回議席には届かなかった。一方、日本維新の会(政治団体大阪維新の会を含む)は改選前から倍増し、目標に掲げる「全国政党化」に向けて前進。大阪府知事選で再選を果たした吉村洋文共同代表は、次期衆院選で公明党と対決の可能性を示唆するなど、強気の姿勢を見せた。
維新が“本拠地”の大阪だけでなく、全国で存在感を示した。41道府県議選で、改選前の57議席から124議席に倍増。前回議席を得た5府県に加え、13道県で新たに議席を獲得した。非改選の茨城、東京を加えると、20都道府県議会に議席を持つことに。大阪府・市の両議会でも過半数を得た。
大躍進を受けて、藤田文武幹事長は「全国政党化という次なるステージに向けて、大きな一歩を踏み出せた」と手応えを強調した。強気の発言は、保守分裂という理由があったとはいえ、公認候補が奈良県知事選で首長として大阪府外初の当選を果たし、全国進出の足掛かりを得たことが大きい。
吉村氏も「勝利」から一夜明けたこの日の会見で、次期衆院選に向けて党勢拡大のための公明との激突をにおわせた。現職がいる大阪府と兵庫県の計6選挙区に候補を擁立する可能性に言及。「選択肢を示すのが原則だ」と語った。
維新は大阪市を廃止して特別区を置く都構想実現への協力を得るため、衆院選で公明との対決を回避してきた。6選挙区の候補擁立に関し吉村氏は「最終決定はしていない」とし、今後、馬場伸幸代表と協議するとした。
11日には衆院4補選が告示される。岸本周平前衆院議員の知事転身により実施される和歌山1区(和歌山市)では、自民から岸本氏に選挙区で4回連続敗れた元衆院議員が出馬するのに対し、維新は元和歌山市議を擁立。野党候補が乱立する千葉5区(市川市の一部、浦安市)でも、維新は候補擁立の意向を示している。統一地方選前半の勢いを得て、国政でも“風”を吹かすことができるかが注目される。