先の兵庫県知事選挙で返り咲いた斎藤元彦知事(47)の選挙活動をめぐり、PR会社社長が広報・SNS戦略をネット上に公開した問題。公職選挙法違反の可能性が指摘されるなか、当事者間の主張に食い違いが生じている。
問題視されているのは、兵庫県西宮市にあるPR会社「株式会社merchu(メルチュ)」の折田楓代表取締役(32)が、投開票後の11月20日にブログサイト「note」でアップしたコラムだ。
《広報全般を任せていただいていた》とし、プロフィール撮影からコピー・メインビジュアルの一新、SNSアカウント立ち上げ、SNS運用について、会議資料や図表などとともに選挙戦の内幕を紹介。
コラムには、《元々斎藤さんとは面識がありましたが、まさか本当に弊社オフィスにお越しくださるとは思っていなかったので、とても嬉しかったです》《ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました》とも綴られており、折田氏の熱量が伝わってくる内容だった(※現在は削除済み)。
また選挙期間中には、折田氏が斎藤知事の選挙カーに同乗し、演説をする斎藤知事をスマートフォンで動画撮影する姿も目撃されていた。
しかし斎藤知事は、11月25日に行われた全国知事会議の終了後、囲み取材で「公職選挙法違反になるようなことは、私はないという風に認識しております」と繰り返し疑惑を否定。その上で、PR会社には法律で認められたポスター制作などに対して約70万円を支払ったとし、折田氏については「ボランティアとして個人で参加」と説明していた。
また斎藤知事の代理人は、囲み取材後にメディアの取材に「PR会社との契約書は交わしていない」と回答。金額や業務の指示はメールやSNSで行っていたといい、12月2日に選挙資金の収支報告書を提出する前に、業者からの請求書を公開する方針を示したという。
いっぽう折田氏の「note」の内容は、問題視され始めたタイミングでひっそりと修正・削除されることに。折田氏本人も21日にANNの取材に対して、「『答えるな』と言われています」「『答えないで』と言われています」とコメントを避けたという。そして現在に至るまで、PR会社から今回の件について説明はなされていない。
騒動が拡大するなか、さらに耳を疑う発言が――。
斎藤知事の代理人弁護士は27日、神戸新聞社の取材に対して「ブログは事実と異なることが記載されている」と明言したというのだ。また、PR会社に支払った約70万円の内訳は、「公約スライド制作・30万円」「チラシのデザイン・15万円」「メインビジュアル企画・制作・10万円」「ポスターデザイン制作・5万円」「選挙公報デザイン制作・5万円」とのこと。
折田氏が公開した「note」のどの部分が「事実と異なる」のかは不明だが、もしこの主張が正しければ折田氏は嘘をついていたことになる。
「総務省のガイドラインでは、『主体的・裁量的に選挙運動の企画立案』をした業者に報酬を支払うことは、『買収』の恐れが高くなるとの見解を示しています。そうでなくともPR会社の行為が寄附とみなされた場合、政治資金規正法に抵触する可能性も指摘されています。
折田さんが公職選挙法について知識不足だった可能性もありますが、万が一、彼女が虚偽の内容をネット上に公開していたとすれば話は変わってくるでしょう。ここまで大きな騒動に発展してしまったことから、斎藤知事側から法的措置を取られ、訴訟に発展する可能性もあり得るのではないでしょうか。
ただ、斎藤知事が説明不足であることは否めませんし、PR会社側からも説明を聞かないことには判断は難しいように思います」(社会部記者)
斎藤知事側からの主張が展開されるなか、沈黙を貫いたままの折田氏。Xやニュースサイトのコメント欄では、いっそう折田氏に対して説明を求める声が高まっている。
《事実と異なる?真実相当性がない? つまり、折田氏が嘘をついていると?》《違反が無いなら、雲隠れせんでもええやん!》《問題がないということなら 社長さんもはっきり主張しにないと 全部責任押し付けられちゃうよ?》《PR会社の社長はもう終わったも同然だけど知事に切り捨てられる前に全てを話してしまわないと全ての責任を取らされて最悪の結果になるよ》