PR会社社長 知事サイドから訴訟の可能性、会社の評判は絶望的でどう転んでも“詰み”状態…軽率noteの「重すぎる代償」

兵庫県知事選で斎藤元彦知事(47)の「広報全般を任された」とするコラムをPR会社社長がネット上で公開し、公選法違反の疑惑が浮上した問題。PR会社社長が沈黙を守る中、斎藤知事の代理人の弁護士が11月27日に記者会見を開き、PR会社は窮地に追い込まれている。
ことの発端は、兵庫県西宮市にあるPR会社「merchu」の代表を務める折田楓氏が11月20日、ブログサイトnoteで《今回広報全般を任せていただいていた》として公開したコラム。プロフィール写真の撮影・キャッチコピーの一新、SNSアカウントの立ち上げ、ポスター等の制作、自身が監修者としてSNS運用などを手掛けたとするコラムを発表したところ、公職選挙法に抵触する可能性があるとの指摘が相次いだ。また、公開後にブログの内容が一部修正・削除されたことも波紋を呼んだ。
斎藤知事は25日、都内で開かれた全国知事会の終了後に記者団に対し「公職選挙法違反になるようなことはない」と疑惑を否定した上で、「今後の対応は代理人弁護士に任せている」と繰り返していた。
27日に代理人の奥見司弁護士が行った会見では、折田夫妻がボランティアをして名乗りをあげたため、9月29日に斎藤知事は同社のオフィスを訪問したと説明された。その席で、折田氏から後に契約するポスター制作等のほか、SNS利用についての説明を受けたものの、その場では契約せず1時間ほどで打ち合わせは終了したという。
翌日以降に、ポスターデザイン制作などのほかに、 YouTube用動画撮影などの項目の入った幾つかのプランと見積書が提示されたといい、法律で認められたポスター制作などに「絞って」、10月上旬に依頼したと説明。そもそも見積書の中に「SNS戦略の策定などの項目はなかった」という。また、奥見弁護士は、実際に約70万円を支払ったポスター制作などの5項目を除く、契約外の折田氏の活動は全て「個人のボランティア」だとコメントした。
加えて、コラムについては「事実である部分と全く事実でない部分が記載されております。特に広報全般を任せたとか、そういう部分については全く事実ではないと考えている。なので、盛っているか、盛っていないかについては、盛っておられると認識しています」との認識を示した。また、訴訟の可能性について、現時点では考えていないとしつつも今後の展開によっては「名誉毀損等の問題はあるのかもしれません」と言及した。
コラムで、選挙における広報活動は食べる暇も寝る暇もない程忙しかったと振り返っていた折田氏。コラムを公開した際には、そんな自身の行いについて斎藤知事サイドから“全く事実ではない”“盛っている”と指摘され、訴訟までチラつかされてしまうとは夢にも思わなかっただろう。
さらに、会社として背負う代償も大きい。
「今回のコラムの公開で会社としての評判もガタ落ちとなってしまいました。斎藤知事サイドが主張する通り、コラムの内容が“盛ったもの”であったとしたら、自身の会社のPRのためにクライアントに迷惑をかけたわけですから、印象は最悪です。
そもそも業界の慣習として、クライアントに許可を得ず実績や戦略を公開することはあり得ません。斎藤知事サイドはコラムの公開を『知らされてなかった』と説明していますが、この説明が事実だった場合、許可も得ずネット上にクライアントの情報を漏らしてしまったことになり、あまりに軽率な判断だったと言えるでしょう。こうなると、記事を盛っていようが盛っていまいがPR会社としては“詰んでいる”状況のように見えます」(地方紙記者)
折田氏は同社主催で28日に開催予定だったSNSの運用セミナーを急きょ中止、29日に神戸市内で行われる「ひょうご仕事と生活のバランス企業表彰」の表彰式も欠席し、雲隠れ状態だ。21日にANNの取材に対し「“答えるな”と言われてる」と回答したが、これまでPR会社から本件についての説明がなされていないことも、疑惑を深めることにつながっている。
「立場上表に出られない事情があるのかもしれませんが、両者の主張が食い違い真相がわからない中で、トラブルの引き金を引いた人物が沈黙を続けることに批判も上がっています」(前出・地方紙記者)
折田氏からの詳報が待たれるーー。