回転ずしチェーン「くら寿司」でしょうゆ差しの注ぎ口をなめたり、牛丼チェーン「吉野家」で紅しょうがをじか箸で食べた男らが次々、威力業務妨害などの疑いで逮捕されている。飲食店だけでなくカラオケ店でも、行き過ぎた悪ノリ、悪ふざけが横行している。
6日、軽犯罪法違反(火気乱用)の疑いで群馬県安中市の土木作業員(21)が同県警に書類送検された。今年2月、高崎市のカラオケ店「まねきねこ高崎駅西口2号店」で、部屋に備え付けの除菌用スプレーにライターで火をつけ、友人に噴射した疑いだ。当時、火が激しく燃え上がる様子を撮影した動画がアップされると、SNS上で拡散。運営会社を傘下に持つ「コシダカHD」が県警に被害届を出していた。
動画では撮影者とみられる男が店の廊下で「よし、いけ、いけ。やったれ、やったれ」とあおると、スプレーを手に持った土木作業員が鼻歌を口ずさみながら、ノリノリでダウンを着た友人に近づき、ライターで火をつけ、顔面近くに炎を噴射。逃げ惑う友人の姿に大ハシャギする様子が収められていた。
■謝罪を受け入れず「徹底抗戦」の構え
動画がアップされた翌日の夜、当事者たちが店舗まで謝罪に訪れたそうだが、会社側は受け入れず、一切対応しなかった。
「話し合いの機会は持たず、帰ってもらいました。謝罪を受け入れなかったのは模倣犯が出ないようにするためです。毅然とした対応を取ることにしました」(コシダカHDの担当者)
まねきねこをめぐっては、同じ時期、久喜店(埼玉県)でも若い男が店に備え付けのソフトクリーム製造機に口を近づけ、直接食べる動画が撮影・拡散された。これにより、会社側は全582店舗の機器の洗浄に追われた。ソフトクリームの製造機をすべて洗浄となると原料まで廃棄する必要があり、相当な手間と費用がかかる。
さらにソフトクリーム機に直接、口がつけられないようカバーを設置する予定で、全店舗に徹底した衛生管理を通達したという。
「久喜店の被害についても警察に相談しています。ソフトクリームの製造機に関しては、弊社だけでなく、同様の設備がある店舗への不信感につながる重大な被害であると捉えています。久喜店にも謝罪したいという電話がありましたが、お断りしました。刑事だけでなく、民事訴訟も検討中です」(前出の担当者)
迷惑動画の拡散により同社の株価は一時、1割近く下落した。本人たちはウケると思って調子に乗ったのだろうが、会社のイメージを落とし、従業員に多大な迷惑をかけた以上、もはや謝って済む問題ではない。