部数激減の朝日新聞、たった2年で約千円の値上げ…夕刊は消滅へのカウントダウン

貧すれば鈍するとはまさにこのことか。
部数減に悩む朝日新聞が取った窮余の策は、この上なく単純なものだった。同紙は4月5日付けの朝刊で値上げを発表。5月から、朝夕刊月ぎめ購読料が4400円から4900円(税込)にアップする。
「朝日新聞は2021年7月に、購読料を4037円から4400円に上げたばかり。それから2年も経たずに今度は一気に500円も上がるんですから、2年で2割以上の値上げです。しかも紙面では、『値上げ』という文字は一言も使わず、『購読料改定』と記すのみ。食料品や生活必需品など、ほかの業種の品物については平気で『4月1日から値上げ』といった記事を載せるくせに、自分が値上げする時は『改定』なんて小賢しい単語を使うのは本当に卑怯です」(購読者の会社員)
そ 新聞業界はここ数年ネットに押され、部数が急減。ほかの業界なら、売上が減ればコストを見直すなり、人件費を削るなり、消費者に負担を押し付けるのは最終手段になるはずだが、朝日新聞は部数減を値上げで補う道を選んだ。この決断には関係者も首をひねる。
「大手紙は各紙とも部数減が著しいですが、中でも異常なのが朝日新聞。ここ数年、毎年15%ずつ部数が減ってきましたが、2022年は下半期だけで13%も減少し、2010年に約800万だった部数は、ついに400万部を割り込みました。このため社内では何度も早期退職募集を行ってきましたが、40代そこそこで年収が1000万円に届く会社を辞める人間はそうそういません。

今回の値上げへの反発は相当に強く、本社への抗議の電話はもちろん、販売店や配達員にも相当な数のクレームが来ているようで、どれだけ部数が減るかは正直、想像もできません。若手記者からは『新聞屋が“損して得取れ”って単語を知らないのか』とか『これで“高級紙”の仲間入りだ』とか、呆れと諦めの声が上がっています」(大手紙関係者)
新聞業界とて、部数減を指をくわえて見ているわけではないが、ネットの手軽さや速報性には到底、敵わない。紙の新聞の使命が終わりに近づきつつある中で、まず消滅しそうなのは夕刊だ。
「朝日新聞は値上げとともに、東海3県(愛知、岐阜、三重)の夕刊休止を発表しました。この3県で夕刊を取る家庭が減っているのが理由ですが、これは全国的な傾向で、すでにかなりの地域で夕刊はなくなっています。それゆえ、夕刊に載せたニュースをもう1度、朝刊に載せる場合が増え、夕刊の存在意義がいよいよなくなっている。夕刊は折込チラシの実入りも少ないですし、1軒1軒、配達する手間は朝刊と同じですから、朝日に限らず、なくなるのは時間の問題でしょう」(同上)
今の子どもたちが大人になる頃には、「昔は1軒1軒、新聞を配っていたんだよ」という昔話になるのかもしれない。