20代から高めておきたい投資・資産運用の目利き力 第78回 人生のターニングポイントは出会い。今、人とのつながりに投資する意義(後編)

「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。

今回は前回に引き続き、「『笑顔』『感動』が広がるNo.1ビジネスコミュニティ」というビジョンを掲げる、GMOコネクト株式会社の代表取締役社長兼CEO・安田暁史氏にインタビューを行いました。

○安田暁史氏

1983年、愛知県名古屋市生まれ、岐阜県岐阜市育ち。東海大学文学部卒業後、株式会社サイバーエージェントのグループ企業、株式会社シーエーモバイル(現株式会社CAM)に入社。新卒時代にGMOインターネット株式会社創業者兼社長である熊谷正寿氏の著書『20代で始める「夢設計図」ー必ずスピード成功する5つの原則』や『一冊の手帳で夢は必ずかなう』を読み、夢設計図を手帳に描く。IT関連のクリエティブ・システム開発事業を軸に25歳で個人事業主として独立、27歳で法人化を経て、29歳のときに熊谷正寿代表と出会う。GMOインターネット株式会社との合併会社を2013年に設立し、現在「ビジネスマッチング事業」で「笑顔」「感動」を生み出すことをビジョンに掲げるGMOコネクト株式会社を経営中。

○「価値のあるつながり」とは

――「つながり経済」や「人的資産・人的資本」「リレーションシップマーケティング」という言葉も最近よく使われていますが、ヒトモノカネという経営資源の中で、人の重要度が上がっていると思います。人と人とが出会い、どうやって縁を深めて、偶然の出会いを必然に変えていくか。人とのつながりという無形資産の価値をどうやって発揮して、お互いに価値を高めていくか。そこには、工夫や努力が欠かせないのだと思いますが、安田さんが考える「価値あるつながり」についても、ぜひ教えてください。

安田氏:ビジネスコミュニティの良いところは、ギバーの精神を持った人がたくさんいるということです。やはりコミュニティですので、自分の利益だけを考えている人は嫌われます。

実際にGMOコネクトに参加しているメンバーは、本当に人間的に魅力的な人ばかりです。もちろんもともと人間的に素晴らしい人が参加してくださっているのですが、コミュニティに参加することで、「だれかに貢献しよう」というギバーの精神が育ちます。なぜなら貢献することによって、自分の仕事にも良いことが跳ね返ってくることがわかっているからです。人間的な魅力が高い人の集まりなので、紹介してもらえる人もはじめから信頼・信用できる人ばかりです。そうなると、仕事につながるスピードも早くなります。

また、素晴らしい人たちが集まってくるので、仕事だけの関係で終わらせてしまってはもったいないと考える方もいます。仕事だけでなく、プライベートで遊びに行ったり、悩みを相談しあったりして、より自分の人生を豊かにしてくれる人脈を手に入れています。

そういったコミュニティはとても価値が高いですし、「価値あるつながり」を体現しているコミュニティだと思います。
○良いビジネスコミュニティの条件

――GMOコネクトさんが「価値あるつながり」を創造する上で工夫されていることや大切にされていることはありますか?

安田氏:当たり前のことではありますが、ビジネスコミュニティに参加するメンバーが、まずはお互いのことをしっかりと知って、信頼関係を構築できる仕組みを用意することだと思います。その上で、私がコミュニティが成功する要素として大切に考えているのが、「楽しさ」と「仲間との絆」です。

「楽しさ」と「仲間との絆」は、お互いが独立したものではありません。循環するものだと思います。楽しい時間を共有するから、仲間との絆が生まれます。また、絆があるから、楽しい時間をつくることができるんです。

現代はオンライン化が進み、いつでもどこでもだれとでもつながることができる時代なのですが、その反面では孤独を感じやすくなっています。経営者や個人事業主・フリーランサーであれば、抱えている責任もありますから、なおさら孤独を感じやすい。だからこそ、ときには支えあったり、ときには相談したり、ときには楽しい時間を共有できる仲間とのつながりは、大きな価値があると言えます。

しかし、この2つは主催者側がなにもしなければ簡単に生まれるものではありません。ビジネスコミュニティを長く継続する上では、「楽しさ」や「仲間との絆」が生まれるようなことを主催者側が仕掛けていく必要があるのです。

それに、「楽しさ」や「仲間との絆」に上限はありません。いくらでも高めていくことができるので、ビジネスコミュニティに完成はなく、常に進化し、成長し、深化し続けるのだと考えています。

○人間性を知ってもらうことにお金と時間を投資する

――では最後に、「自己投資と言っても、なにに投資をすれば良いのかわからない」という人にアドバイスをいただければと思います。

安田氏:私はよく、GMOコネクトへの参加を検討されている方にこんな話をしています。

「あなたは商品を購入する際に、こんな経験をしたことはありませんか。

例えば、AさんとBさんが似たような商品・サービスを提供していたとします。よくよく調べるとAさんが提供している商品・サービスの方が質は高いけれど、Bさんの方が人間性がよく、Bさんから商品を購入してしまったというケースです。

またAさんの商品・サービスの質がどんなに良くて、価格が安かったとしても、すごく性格が悪くて、態度も悪い人だったら、買わないですよね。

要するに、商品・サービスの質というのはもちろん大事なのですが、提供している人の人間性を知ってもらうことも大事だと思うのです。この時代、情報が溢れています。逆にいうと、たくさんの情報の中から、なにを選択すれば良いのかの判断が難しい時代とも言えます。

だからこそ、“だれから”買うかということを強く求められるようになってきたのです。だから、自分の人間性を知ってもらい、しっかりとした信頼関係を構築していくというのがビジネスの場では重要です」

という内容です。

自己投資と言っても、なにか資格を取ることやセミナー・勉強会に参加すること。転職することや起業すること……などなど、受け取り方や実践の方法がとても幅広いです。私は出会いによって人生を変えてきたという経験をしてきましたから、今自分が20代だったとしたら迷わず出会いに投資します。その具体策が、良いコミュニティに参加して、だれかに貢献し、お互いを知って価値を高め合うことです。

すぐに効果が出ることもあれば、時間がかかることもあると思います。ただ、数年、数十年経ったときに「あぁ、あの出会いのおかげで今の自分があるな」と感じることができたら、すごく有意義で有効な自己投資なのだと思います。

中島宏明 なかじまひろあき 1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。監修を担当した書籍『THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変える』が発売中。 この著者の記事一覧はこちら