秋田県能代市在住のシニア世代の女性を中心に結成されたチアダンスグループがある。その名も「NSD101」(以下NSD)で、現在は45から78歳までの女性33人が所属している。平均年齢が約67歳のメンバーたちは「能代の高齢者を元気に」をモットーに、快活なダンスを披露していく。
表情は明るく、動きは軽やかだった。能代市内で、真剣な表情でダンスに取り組んでいるのはNSDのメンバーたちだ。練習後は、経験豊富なメンバーが“若手”に助言する場面も。最年長の金子祐子さん(78)は「すごく楽しいです」と満面に笑みを浮かべた。
金子さんは約6年前に夫と死別し一人暮らし。「息子は仙台で娘は九州にいます。まだまだ若い人に迷惑はかけられない」。健康維持のためにNSDに加入し、ダンスを始めた。今は踊ることも好きだが、他に楽しみもできた。「家に一人でいると話す人もいない。お友達もできたし、体が動く限りは続けたい」
NSDは、能代市のスポーツ振興委員の大瀧賢一さんと妻の幸さん(ともに64)が「健康な高齢者を育成するため」16年11月に設立した。「どんどん少子高齢化が進んでいる。老老介護してる人も少なくない。『能代の高齢者を元気に』がモットーです」と賢一さん。踊って健康な肉体を作るべく、土日に約2時間ずつ練習を行っている。
18年には、バスケットボールの秋田ノーザンハピネッツ(当時はB2)の試合前にダンスを披露。19年11月には日本シニアチア協会が主催した全国大会「シニア チア フェスタ」で審査員特別賞を受賞するなど、着実に力を付けてきた。
今年1月、秋田市内でB1秋田対大阪戦が開催された際はハーフタイム中に約30人が息の合ったダンスを披露。小中和子さん(72)は「振り付けを覚えることは脳トレにもなると思う。踊りながら健康になれる」と笑顔で語った。
チーム内で2番目に若い今野真紀さん(50)は、ダンス未経験ながら数か月前に加入を決断した。「動画を見て、私もやってみたいと思いました。先輩たちが教えてくれるのですごく楽しい。皆さんパワフルで驚きます」
英語の「cheer」(チア)には「応援する」などの意味の他に「元気にする」という意味もある。能代のシニアチア集団は快活に踊り、充実した毎日を過ごしている。
(高橋 宏磁)
◆NSD101 16年11月から活動開始。現在は花組、月組、宙組などのグループに分かれ、毎週土日に約2時間ずつ練習を行う。練習場所は基本的には秋田・能代市総合体育館など。1回のレッスン料は500円で、発表会などを行う際の遠征費としても使用。詳細や問い合わせは、大瀧賢一さんの携帯電話(090・6222・9949)まで。